「ねえねえトシ兄、今日暇?暇だよね!」
「否定させろよ」
「よし!買い物付き合って」


トシ兄が私に逆らえない事くらい知っていた。駄目押しにぎゅうっと抱き着いて上目遣いでおねだりすれば、甘ちゃんトシ兄なんてイチコロである。


「…さっさと支度して来い」
「はーい!」


ぶつぶつ文句を言ってる割にどこか嬉しそうに笑っているトシ兄。プププ!ちょろいもんだ。
どうせお兄ちゃんと出掛けるだけだからと適当な服に着替え、既に支度を終え玄関で待つトシ兄のもとに走った。


「お待たせ〜」
「…!!?オイ幸子!」
「何?早く行こうよ」


ブーツを履いて玄関を開けようとする私を、血相を変えたトシ兄が腕を掴んで引き止めた。


「何って、お前その格好で出掛けるってんじゃねぇだろうな」
「え、どっか変?」
「そんな短ェスカートで外出ちゃいけません!!」
「ハアアア!?」


今時そんな事で注意する兄貴がどこにいるというのだ。


「別に短くないし!これくらい普通だよ!」
「駄目だ!ついでに化粧も禁止!やり直して来い」
「(めんどくせェエエ!!)」


その後、延々と説教をくらった挙げ句二十一回もやり直しを命じられ、結局私達が家を出たのは正午を過ぎた頃だった。



トシ兄とデート
(ったく…どうして女はこう支度に時間掛かるんだ)(テメーのせいだろうが!)

end


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テーマ「人外ファンタジー」
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