「ホンマ三人は仲良しさんやね」
「うん!私、謙ちゃんも侑ちゃんも大好きや」


子供の頃、私達はいつも一緒だった。そしてこれからもずっと一緒だと信じていた。
そんな私に親戚のおばちゃんは笑いながらこう言った。


「なまえちゃん。従兄弟同士はな、結婚できるんやで」


おばちゃんは私をからかっただけかもしれない。でも私にはその言葉が余りにも強烈過ぎた。私達は家族。兄弟みたいに思っていた彼らが、初めて違って見えた。
私の目から見ても、血の繋がった侑士と謙也は似ていると思う。お互いにライバル視する彼らは、比べられる事をひどく嫌った。違う事をアピールするかのように、髪を脱色し、眼鏡をかけ始めた。
なのにおばちゃんの一言で、私は二人を比べるようになってしまった。だって従兄弟は何人いても良いけれど、結婚相手は一人しか選べないのだ。





中学生になって、二人を遠く感じるようになった。ゆっくりと気付かされる、男で女である事。淋しいけど、これが大人になる事なんだと、自分に言い聞かせた。


「俺、なまえちゃんの事好きや」
「白石、くん」
「付き合ってくれへん?」


謙也のチームメイトの白石くんは従兄弟以外で初めて出来た男友達。謙也とも侑士とも違う。そんな白石くんに告白されて、正直嬉しかった。でもどうしても答えが出せない。何故か幼い頃の思いが私を引き止める。


「し、白石に告白されたん!?」
「うん…」


白石くんに告白された事を謙也に相談した。初めは驚いていたけど、真剣な表情で「アイツはええやつやで」と答えてくれた。
侑士が東京に行って、少しずつ崩れ始めた私達のバランス。いつかこんな日が来ると思っていた。


「私、」


それでも一生繋がっていたいと願う私達は、やっぱり「イトコ」で家族なのだ。



カズン
(私達は、イトコ)(今も昔もこれからも変わる事はない)

end






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忍足従兄弟ペアプリ記念


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