敬い称えよ


「さ、残さず食べろよ?」



腐臭漂う背徳の館。

人はここを『暴食の館』と恐れる。


その理由は簡単、今日もはじまる最後の晩餐に出される身の毛もよだつ料理の数々。



「邑様、晩餐の準備が整いました」



広いテーブルに並べられた大量の料理を一人笑顔で食い漁るのはこの屋敷の主、邑・コンチータ。

かつてこの世の美食を極めた資産家。


その果てに彼女が求めたのは、究極にして至高の悪食(あくじき)…



敬い称えよ、我らが偉大なコンチータを。

この世界の食物は全てがあなたの為に存在する…






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「うえ…」


「大丈夫か?赤也」


「あんま大丈夫じゃないっす…」


「そりゃあそうじゃろうなι」



チラリとテーブルの方を見れば、彼女はこっちの会話に気付いてない様で、嬉しそうに食事を続けている。



「後はやっとくけぇ、もう上がりんしゃい」


「っす…」



顔を真っ青にして今にも吐きそうな後輩を送り出し、溜め息をつく。


ここの使用人の殆ど全員が高額な給料に釣られてやって来た若者達。

どんなに酷い所の出身でも、常に厨房や屋敷の裏から漂う腐臭や並べられる料理に次々と辞めて行く。


まぁ…


殉職という形のが正しいが

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