猫は何者なのだろうか
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「邑、今日部活の後って暇か?」
朝練の最中、スコア付けを行っている邑の隣に腰掛けそう聞いた。
「? 別に暇だが…
つーかお前幸村にしか連絡せずに休むってどういう事だよ。俺に連絡はよ」
「今日晩飯食いに来ん?そん時に昨日についても話すナリ」
訝し気な顔を浮かべたものの、まぁ良いかと頷いた。
「あ、そういや邑、昔さ…――」
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「ただいまー」
「おじゃましまーす」
今日は潤斗の姉である楓さんは居ない。
潤斗は楓さんと二人で暮らしてるから、家には誰も居ないはず。
なのに…
「おー、お帰りー」
何で返事が帰ってくるんだ?!
潤斗に目線で説明を求めると、リビングに入り来い来いと手招きされた。
「……は?」
「邑か、この姿でははじめましてじゃな」
「邑、紹介するよ。雅治さん」
え、何でこんな平然と紹介されんの?!
ソファに座ってテレビを見ながら俺らを出迎えた?のはやけに白い肌に、後ろで一つ結びにした銀髪と金の目を持つ男…
俺の知る、原作そのままの仁王雅治だった。
「…潤斗、俺何にも聞いてない。」
「だ、だから、今から説明「の前に言うこと」……えと…家族が一人増えました?」
「………」
もう良いや。
よくよく考えてみればコイツ、越前リョーマの事しかテニプリについて知らねぇんだっけ…
掴んでいた潤斗の胸倉を離し、目の前の男を睨む。
「…仁王雅治」
「何じゃ?感謝こそされぞ、睨まれる覚えなんかないんじゃがのぅ」
「ああ、お前には感謝してる。
俺をこの世界に連れて来てくれたのはお前だからな」
「え、そうなん?」
目をパチパチとさせて驚く潤斗を視界の縁に入れつつ話を続ける。
可愛いなチクショウ
「だが、潤斗に聞かれた。昔、もう一人女の子が一緒に居なかったかって…
仁王雅治…お前は、俺達について何処まで知っている?」
目の前の猫のが吊りあがる…
「全て…と言ったら?」
その顔は、チェシャ猫の様などこか狂気を感じさせる表情だった。
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