買い出しとジュース
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「ごめんねにお君、わざわざ荷物持ちみたいなことさせて…」
「構わんよ、こういうのは男の仕事じゃ」
「…そこら辺の女子より細くて心配になるのにね」
「俺一応テニス部」
冗談だよーと笑う井上に苦笑いを返し、ガムテープや絵の具が入った袋を持ち直し自動販売機に向かう。
「喉渇かん?」
「? うん、今日ちょっと暑いもんね」
はい、と潤斗に渡されたのはさっき自動販売機から出て来たばかりの紙パック。
もう一度首を傾げ潤斗を見上げた時にはもう一度小銭を入れていて、そこで気が付いた井上は慌てて財布を出そうとするが潤斗に止められた。
「俺の奢りじゃ」
「え、でも…」
「そんかわり、遠回りした事黙っといてな?」
つまりは共犯になれという事か…
少し悩んだ後、ニッと笑って潤斗の腕を引く。
「どうせなら公園のベンチでジュース飲もっ、あそこなら木陰も有るし。」
「おん」
一瞬パチパチと驚いた様に瞬きした後、すぐに笑って頷いて自分の分のジュースも買って腕を引く井上に続く。
「にお君って体温低いんだね」
だから暑さに弱いのかな?と続ける井上にかもしれんなと頷く。
「それに対して井上は体温高いんじゃのぅ、やっぱり子供体お「今日って暑いよね!!」
暑いからだよ、絶対そう!
必死になる井上につい笑ってると拗ねながらベンチに座ってストローを吸いだした。
「すまんすまん、でも井上の体温好きじゃよ?」
「っ…!」
潤斗の言葉に紙パックを持っていた手が一瞬固まる。
「にお君って結構タラシだよね」
「よう言われる」
でもそう思ったのは本当だし。
自分より体温高いのはあんまり好きじゃないし、ましてや赤也や丸井みたいなのは尚更。
でも井上の手は不思議と不快感を感じなかった…
「さてと、もうそろそろ行くかの。あ、ゴミ捨ててくるけど」
「ううん、また後で飲むから大丈夫だよ」
「そうか、零さん様にな」
「あ、子供扱い」
ムスッとなった井上に笑って頭を撫でた後、すっと井上の前に手を出す。
「そんじゃ、行こうか」
「うんっ!」
自然と手を握って二人で歩く。
実はわざとゆっくり歩いてるのは、にお君には内緒。
慌ただしく働いてた私に気を使ってるのも分かってる…
「ありがとう、潤ちゃん…」
「ん?何か言ったか?」
「うーうん、何でもないよ」
「そうか」
さてと、戻ったら学園祭の準備頑張らなきゃ。
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