買い出し出発
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「ガムテって今何処だー?」
「テーブルってあといくつ必要?」
「あ、ガムテ今ここー」
「衣装の採寸まだ計ってない人ー」
クラス中に疑問やそれに答える声が飛び交うなか、慌ただしく動くのはクラスの学園祭委員の井上と佐久田。
学園祭まで残り3日となった教室は、何処もこの様な風景が見られる。
「柳生柳生、ちょっとこれ羽織ってくれんか?」
道具やら作りかけの段ボール等をかい潜りながら、段ボールで装飾品を作っている柳生の元へ向かう。
「こちらですか?」
「おん」
ジャケットの様な物を柳生に着せ、潤斗は満足げに頷くと礼を言って衣装班の元へ戻って行った。
潤斗の後ろ姿を見ながら作業に戻り、しみじみと呟く。
「最初はやる気も無かった仁王君も、楽しそうで良かったです。」
「井上が頑張ってたからな。
井上に引っ張られて、クラスの女子とも話す様にもなったし」
準備期間前から動き回ったり潤斗に声をかけていた姿を思い出してウンウン頷きながらジャッカルが答える。
それに柳生も頷き返す。
「仁王君がクラスに馴染める様になって、私も嬉しい限りです。
でもですね…
あまりに馴れ過ぎるのもどうかと思うんですよ」
「Σそ、そうだなっ」
「(大変だな、桑原も仁王も…)
柳生、桑原、俺ヘルプ入るわー」
苦笑い気味に声をかけた田中はここガムテ?と確認してから他から借りてきたガムテープで貼って行く。
「ありがとうございます。
衣装班はもう本日の分終わったのですか?」
「ああ、とりあえずはな」
「そうですか」
「…仁王は他の奴らと買い出しに行ったぞ」
「ガムテープや布等が足りませんからね」
「お願いだからそう目に見えて落胆するの止めてくれないか」
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