女装男装とコスプレは別物です
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潤斗が女装コンテストに出る事が決まって早3日。
HRでクラスの一部が集まり初めての衣装合わせが行われている。
黒板の前には化粧や女装男装をした潤斗と邑を(特に柳生が)今か今かと待って居た。
「…のぅ、やっぱりスカート穿かないかんか?」
「駄目だよにお君!一発で分かるのはやっぱりスカートだからね!本番まで下に短パンとか穿いて良いから、ね?」
「プピ…」
井上は教室の隅でショボンとスカートの裾を伸ばそうとする潤斗を引っ張り、暫く仕事がないメンバーが集まっている前へ出した。
「!にっ、似合ってますよ仁王君っ!!これ以上ないくらい可愛らしいです!!」
「お、おう…」
凄い勢いで褒めちぎる柳生に押され井上の後ろにとっさに隠れるが、ニコニコとご機嫌な井上にしっかりと元の場所へ戻された。
「さぁにお君!決めセリフは?」
「ただの人間には興味ありません!」
「うぶぁ!もう可愛いよー!!」
「Σちょ?!急に抱き着かないでよ!危ないでしょ!?」
「何だかんだでノリノリじゃねぇかよ」
お前女の声真似出来たんだな。と苦笑い気味に輪の中に入って来た邑の姿を見て、潤斗も含めた全員が「え、誰このイケメン」と固まった。
「よし、この反応なら俺の優勝は決まったも同然だな!」
「ああっ!邑ちゃんだ!」
「…ああ、本当ですね」
「柳生、お前態度違い過ぎね?」
溜め息をつきつつ仁王立ちをする邑の姿は誰がどう見ても美青年で、元が女だとはとても思えない。
「にしても、刀まで用意する必要なんてあったのか?」
「こういうのは形をきちんとして成り切って貰わないと♪」
「本当は?」
「邑ちゃんもにお君もただ着てもらいたかっただけです。」
「やっぱりか」
苦笑いを浮かべ左胸に十字が描かれた黒いロングコートの腰部分についている鞘にレプリカの刀をしまった。
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