Side Akaya
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部室の方に向かいながら、ちょこちょこ振り返って手を振ってくれる仁王先輩が愛しくて、つい顔がにやける。
俺だけに向けてって思うと、尚更。
もう大分離れてるから、多分俺の顔は見えてないと思う。
ニヤけてる俺の顔なんて見られたくないから、好都合なんだけど。
あ、また手を振ってくれた。少し大袈裟な気がするけど、遠いから大きく手を振る。
そうすれば、また振り返ってくれそうな気がするから。
でも、
「仁王先輩、置いて行かれるッスよー?」
多分聞こえてないけど、何度か指で丸井先輩の方を指してると丸井先輩との距離に気付いて小走りで丸井先輩の所へ行く。
もうちょっと仁王先輩に振り返って欲しかったけど、あんまりそんな事やってると、後が怖い。
ほら、今日は丸井先輩とダブルスを組んでの練習だから。
(ジャッカル先輩並に疲れるのは嫌だ。)
幸村部長も怖いけど、今回は幸村部長からの指令(ってか命令?)だったから大丈夫。
でも、これから3日間の部活は少し違う。
さっき幸村部長から送られたメールをもう一度見直す。
そこには、マネージャー採用試験を今日から3日間行う事と、最終日には俺と戦って勝ったら合格って事が書かれていた。
(あ、最終日の事は仁王先輩とあの女には内緒だって書かれてた。)
「潰してやるよ、美舞邑…」
転校前に男子テニス部と戦って圧勝したって柳先輩が言ってたから、手加減はしない。
(ってか、『するな^^』ってメール来た)
あんな女ごときに仁王先輩を取られたくない。
仁王先輩は俺達の物だ!
ヤバい、普通に依存になってきてる…ι
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