ミーハーのふりなんて苦にならない
[8/9]
「今は姉貴と一緒に東京近くの家に住んどるんよ。
両親は弟連れて色んな所飛び回っとる」
「そういや俺も渡された家が東京の近くだったな…
あ、俺はマンションだったんだけどな?」
結局3限目を丸々サボり、放課になったのを見計らって教室に戻る。
さて、何気に1番人気の潤斗が見知らぬ女子と親しげに話しながら歩いていれば、それなりに目立つ訳で…
『何あの子、仁王君と親しそうに…』
『マネージャーでもないくせに』
等と陰口もちらほら。
邑への陰口が出る度に睨む潤斗だったが、若干怖い事もあってかあまり効果は無い。
そればかりか、潤斗の本質(ヘタレ)を知っている邑には、小動物の必死な威嚇にしか見えなくなっている。
(分かる人には分かる程度のヘタレ加減って事ですよw)
「っ…///
(ヘタレ可愛すぎんだよ!)」
それを見て邑は潤斗の可愛さに悶えてたり…
そしてそれを見て女子がまた陰口を言い、仁王が威嚇するという悪循環…
「仁王せんぱーい♪」
「赤也?」
その悪循環を破ったのは移動教室で2年生エリアに来ていた赤也だった。
「何で2年の所におるんじゃ?」
「仁王先輩に会いたくて♪」
否、移動教室のためである。
(そしてちゃっかり抱き着く)
「潤斗、コイツは?」
「?
(邑は俺よかテニプリ知っとるはずじゃったのに…)
コイツは部活の後輩の切原赤也じゃ。」
「ふーん…
(やっぱりワカメか…)」
邑は自分から聞いておいて興味を無くしたようだ。
いや、確認しただけで、本当に無くした訳ではない。
何故ならその後…
「切原君って言うんだ〜 よろしくね♪」
ニコッと笑ってしっかりミーハーぶりをしていた。
「Σ?!!
(どうしたんじゃこの子…)」
そしてビビる。
そんな潤斗に今度は赤也が「この女は?」と聞いてくる。
ただでさえ潤斗と親しげな雰囲気の邑に警戒心丸出しだったのに、ミーハーだと分かれば噛み付かんばかりの勢いで威嚇してくる。
「俺の幼なじみの水野邑(のはず)じゃ。
最初は忘れちょったがのぅ」
「ふーん… あ、俺もう行きますね」
「お、おお…」
赤也はその場に居たくなかったのか、踵を返して走って行った。
「幸村先ぱぁぁあい!!柳先ぱぁぁあぁあい!!」
と泣き叫びながら。
(途中で「廊下を走るな!」と怒鳴り声が響いたが、全員でスルーという形になった。)
.
[ 13/84 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]