大切な存在は今、
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柳生の心配など、潤斗は知らず…


潤斗は授業が始まったばかりで少しばかり騒がしい廊下を転校生を連れ、備品室へ歩く。



「ここじゃ」



中へ入ると、室内は薄暗く、色んな物が散乱していた。



「(まだ片付けちょらんかったんか…)」



潤斗はたまにサボる場所として活用させてもらっているので、普通に入って行くが…



「どうしたんじゃ?」


「…………暗くね?」


「? 資料が日に焼けないようにカーテンが閉まっとるからのぅ」



転校生は潤斗が電気を付けるまでなかなか入って来なかった。



「(もしかして…)
怖かったんか?以外と女らしい一面が有るんじゃ「黙れヘタレ」Σ痛ぁ?!」



転校生は潤斗の臑を一蹴りしてから、自分の教科書を探しだす。



「………ヘタレじゃって気付いとったんか…
(ちゅーか痛か…!(泣))」



潤斗は生前から仲が良い人の前以外では基本的にポーカーフェイスの為、実はヘタレという事を知ってる人は少ない。


伊達に『コート上の詐欺師』と言われてるだけあって、それを見抜くのも難しい。



「(前にも、こんな事があったような…)」



すごいな… と感心する半面、仁王はデジャヴュを感じていた。



「なんか段ボールの上に俺の名前が貼ってあるらしいから、見付けたら教えてくれ」



そう言って扉の近くで段ボールを探し出した。


「お前が奥の方探せよ?」と言わんばかりの視線に、潤斗はそそくさと奥の方へ向かった。



「(怖かった…

それにしてもまたデジャヴュ… よう思い出せんが)」





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探し始めて数分。


仁王はそれらしき段ボールを見付けた。



「(そういや名前聞いちょらんかったのぅ…

えーっとぉ…?)」



段ボールに貼ってあった転校生の名前…



《美舞 邑》



その名前を見た途端、仁王潤斗となってから流した事が無い程の涙が溢れ出した…


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