転校生からサボりのお誘い
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転校初日、転校生が放課の度に質問攻めにあうのは、何処もかわらず恒例の事。
STが終わったと同時にクラスの大半の人数に囲まれた潤斗の隣の転校生も、それは例外では無い。
「(逃げそびれたぜよ…)」
転校生の容姿が良かった事もあってか、集まる人数も多く、それは潤斗席にまで達していた。
「(無心…無心じゃ…)」
やっと隣の転校生の探る様な視線から逃げられたと思えば、今度は転校生を囲むクラスメイトのせいで席から立てないという始末…
「(今日は厄日じゃ…!)」
「……潤斗(ボソッ)」
それを潤斗は怖く思ったかは別として、逃げる様に眠りに入った潤斗に何を思ったか…
転校生は少し悲しそうな声で仁王の名を呟いた。
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「ん…(今何時じゃ…?)」
潤斗が目を覚ましたのは、2限目の少し長い放課。
はい、お察しの通り、彼はずっと寝てました。
「なぁ、仁王だっけ?」
「Σな、何じゃ…?」
潤斗が目を覚ますのを見計らっていたのか、潤斗は覚醒したと保々同時に話掛けられた。
「備品室に俺の教科書があるらしいから、一緒に来てくれるか?」
「…………別によかよ。
(女子なのに一人称が『俺』なんか…)」
正直柳生に頼めば良いとおもったが、生憎柳生は居なかった為、渋々と立ち上がる。
「ついでに次の授業サボるぞ」
「転校生初日でサボるんか…」
半場強引に潤斗を引っ張り、ちょうど放課終了のチャイムが鳴った教室を出る。
「おや、仁王君はまたサボりですか…」
「なんか、転校生に引っ張られて出て行ったぞ?」
「転校生と…?
(ミーハーな方とは違うようですが、仁王君を観察する様に見ていましたし…)
何か嫌な予感がします…」
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