2


新型のLBX。
薄くて軽い、かつ頑丈な外装。
そのおかげで機動力の増したそれを、苗字はじっと見詰めていた。

「名前、いままでごめんね」

すべてを話されても、苗字はずっと黙ったままだった。
親類がLBXで怪我をした
苗字の両親は、そう嘘を混ぜてLBXから遠ざけさせていた。
最初こそ、LBX関連会社に勤めていた、と言う両親に訝しげな顔をしていた。
新型をみて、説明書にも乗っていないような情報を母親は推測で言い当てた。
そばを通りがかった店長が、それは制作していた人間でないと、言われない限り分からない、と感嘆するのに、さすがに納得せざるを得ない顔をする。

「これ、買います」
「えっ」

小さい高級そうな黒の革バックから、また高そうな長財布を取り出す。
苗字はあり得ないという目で実の母親を見ていた。

「あぁ、それならお金はいいですよ」
「は?!」
「いやぁ。その子、いつも物欲しそうな顔でLBX見てるものだから。それ、その子にプレゼントってことで差し上げますよ」
「で、でもっ」
「いいんですって」

場にそぐわない満面な笑みを浮かべながら、店長は苗字に新作LBXを手渡す。
彼女は店長と母親の顔をなんども見比べて、おずおずと受け取った。

prev next
表紙に戻る
「#オメガバース」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -