Lucky Seven

「ペンギンさん、ペンギンさん。帰ろうか」
「いやボクまだ来たばっかりだよ!?」

しろくまカフェではなく駅中のカフェ。多種多様なコーヒー豆があるため、同じコーヒーの匂いでも、また違った匂いがする。
名前はホットコーヒーにミルクと砂糖をたっぷり入れて、かき混ぜながら言う。

「だって、七人に告白しちゃったんでしょ? だったら選択肢は一つしかないよ」

全員と付き合っちゃえ!と親指でグーサインを出しながら笑うその顔には、初っ端から相談に乗る気が見られない。
そもそも、年頃の女の子だというのに化粧もせずアルバイトでクソまみれになって家に帰る名前だ。
中学や小学生の時も大して変わらなかったというのだから、ペンギンさんのような修羅場も半田さんのような恋も経験していないだろうし。
なんでこう、まともな相談相手が周りにいないんだろう
ペンギンさんはぐうと言って続けた。

「今がまさにその状況なんだよぅ! これじゃあ、こっちの身が持たないよ……」
「じゃあ、適当に一人に決めてその子と付き合えば?」
「え〜、でも……」
「コーヒーおかわりお願いします」
「ボクの話聞いてる!?」

名前はおかわりのコーヒーを半分まで飲んで、一息吐く。
そして何か思いついたように口を開きかけたとき、ペンギンさんのスマホがメールの着信音を鳴らした。
が、着信音は一回で終わらず、何回もなり続ける。
画面を凝視して固まるペンギンさんと目が合うと、乾いた笑いが二人の間に漏れた。

「ラッキーセブンっていうけど……」
「そうそう上手くいきませんね」

残ったコーヒーを飲み干すと、一人と一匹はカフェを後にした。


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