リボーン複数主番外編 | ナノ


▼ 水着を買う話

進級後の学校生活もあっという間に過ぎ、既に中学2回目の夏休みを迎えたなまえ、くるみ、由良は京子、ハルと共に駅近くにある大きなショッピングモールに来ていた。

「これどうかな?」
「とっても素敵です!絶対京子ちゃんに似合います!」
「ふふっ、ありがとう。」
「2人とも、決まった?」
「由良ちゃん!」

目当ての物を入って早々5分で決めた由良は既に会計も済ませ、商品が入ったお店のロゴが入ったショッパーを手に話し合う京子、ハルに声をかけた。由良の言葉に2人とも返事をするように購入を決めた商品を目の前にかざす。それを見た由良はいいと思う、2人に似合ってると微笑みながら言って、言われた2人は照れたようにはにかんだ。

「くるみちゃん達は決まったかな?」
「そういえば、なまえちゃんを連れて向こうの方に行ってから全然見てませんね…」
「さっき見たけど、川崎さんはもう決まってたっぽくて、カゴに入れてた。なまえは…」
「由良!」

不思議がる2人に様子を見てきた由良が話している途中、背後からパタパタと駆けてきたなまえが由良の両腕を掴み、そのままくるりと回転し、由良の背中に隠れるようにかがみ、ひょこりと顔を出す。突然の出来事にされるがままだった由良はハッと我に返り、店の中で走らない、叫ばない、と幼子にするように注意する。

「ご、ごめん。でもっ!」
「なまえちゃん待ってよ〜!」
「くるみちゃん…」
「川崎さん…?」
「はひ!?くるみちゃんそれどうしたんですか!?」
「わー!どれも可愛いね!」

謝り、言葉を続けようとしたなまえを遮るようにくるみが手に大量の商品を持って追いかけてきた。余りの量の多さにハルと由良は絶句し、京子はくるみが持つ商品のデザインや色について話している。でしょ!と得意げに答えるくるみに由良ははぁ、とため息をついた。

「川崎さん、流石にそれは多すぎるからせめて数着に絞って。そこからみんなで考えよう。」
「どれもなまえちゃんに似合いそうなのに…」
「あの、やっぱり私は買わないという方向で…学校指定ので充分…」
「浮くぞそんなことしたら。アンタはTPOを考えなさい。」
「……………はい。」

すぐ傍でギロりと睨んだせいか、少し脅えつつ答えるなまえに再度溜め息をついた由良は頭を抱えた。

何故5人がショッピングモールにいるのかと言うと、京子の兄、了平がライフセイバーの先輩を手伝っているという事で海に遊びに来ないかと誘ってきたことから始まる。初めは遠慮していた3人だが、京子の楽しみ!という言葉や期待に満ちた目、表情に強く断れずにじゃあ、と行くことを決めた。そこでよかったら水着を買いに行かないかと京子から誘われ、これまた断れなかった為こうしてショッピングモールの水着売り場で各々水着を選んでいたのだ。
しかしそこで暴走したのがくるみで、友人と休日にショッピングをすることが初めてだった彼女は現実で最推しと称するなまえに似合う水着を選んだはいいものの、その数が余りにも多く、更になまえ自身はあまり気乗りしていない様子だった事もあって全く進んでいなかった。そこを見兼ねた由良が解決策を出し、ひとまず2人が購入するまで監視する事にした。

「うーん…」
「川崎さん、決まった?」
「どれも良くて絞りきれなくて…」

くるみが悩んでいるのはデザインは似ているが色味が違う物、色味は似ているがデザインが異なる物、色味、デザインは似ているが、雰囲気が若干異なる物、といったような物ばかりで、由良はひとまず似ている物を片っ端から戻していった。ああ!と抗議しようとするくるみが何かを言う前にどんどん戻していき、残ったのはデザインも色味も全く違う2着のみになった。

「これで京子とハル、なまえに決めてもらおう?第一、あの子の性格考えたらあんなにいっぱいあったらパニクって決められないよ。」
「う、ん…分かった。そうするね…」

残した2着を持って3人のもとへ向かえば、ハル、京子はそれぞれ別々の水着を選び、あとはなまえが選ぶだけとなったのだが、

「いや、あの、どっちも、キツい、かなぁ〜なんて…」

生粋のインドア派ななまえは今までで1度も水着を選んだことも買ったこともなかったので、どちらがいいかと聞かれても分かるはずもなく、目を逸らして気まずそうに答えるだけだった。そこには若干の恥ずかしさも含まれており、どうしようか4人で話すことにした。

「よし!こんな時こそ恭弥くんだ!」
「はひ?恭弥さん、ですか?」
「待って何するつもり?川崎さん。」

閃いた!と言わんばかりに目を輝かせたくるみは徐にスマートフォンを取り出し、ポチポチと操作し始めた。いきなり出されたヒバリの名前に不思議がる京子、ハル。そして突拍子もないことを言い出したくるみに嫌な予感がした由良は操作する手を掴み、引き止めて話を聞くことにした。

「恭弥くんがいいって言った水着だったらいくら着たくないって言ってるなまえちゃんでも着ると思って、恭弥くんに選んでもらうの!」
「確かにあの暴君みたいな存在のヒバリが言えば誰でも着るだろうけど、大前提としてヒバリがなんのメリットもなくなまえの水着を選ぶと思えないから却下。」
「大丈夫!奥の手があるから!」

自信満々に言うくるみに奥の手?と首を傾げる由良を見て、ふっふっふっ、と怪しく笑ったくるみはなまえの許可の下撮った写真を送るのだと言う。

「それだけ?」
「うん。それだけ!とにかく、私を信じてやってみようよ!もし返事が来なかったらまた考えるっていうのじゃダメかなあ?」
「………………分かった。それでいこう。」

なまえが許可しているのなら。そう思って渋々頷いた由良からOKをもらったくるみは嬉しそうに店員に撮影許可を取り、1着ずつ写真を撮ってヒバリにメッセージを送った。

「ホントにヒバリから返事が来るの?」
「ヒバリさんって風紀委員長のヒバリさんだよね?」
「そういえば、ツナさんからすっごい怖いデンジャラスな人って聞いたことあります!」
「恭弥くんそこまで怖くないよ?」
「それは川崎さんだけだと思う。」

ヒバリからの返事を待つ間話していると、ポコン、という通知音と共に返事が来た。

「なまえちゃんっ。こっちにしよ!」
「えっ?あ、うん…?」

ヒバリからの返事を確認したくるみたちは1着の水着を手に取ってなまえに渡した。
事情を知らないなまえはあまりの勢いに呆気に取られつつ、渡された水着を受け取り、購入した。

こうして全員海水浴で着るための水着を購入でき、そこからはみんなで色々な店を見て回った。

************
と、いうことで前にちょろっと書いたボツにした話です。
一応弁解させてもらうと、ただ読んだだけだと雲雀さんが変態みたいに見えるんですが(苦しい)、実際は雲雀さんはまともに写真見ずにテキトーに答えてます。これで無視すると通知がうるさくなることを知っていたので、鬱陶しい…!と思いながら返事してました。(笑)
ちなみにこの後選ばれた水着を着た雲主の写真が送られてくるんですが、珍しく雨主の今後について結構本気で心配します。こんな調子で大丈夫なのか、と。(笑)
こういうのセンスなくて水着の細かい描写一切入れてないんですが、一応こんな感じ〜みたいなイメージは持ちながら書いてます。本当にざっくりなんですけど、霧主は無難なの、雨主は可愛らしいの、雲主はシンプルなの、という感じです。あくまでイメージなので!皆さんの好きな水着を想像してお読みください!
最近の水着はどれもデザイン可愛いの多くて、買ったことないけど見てるの楽しいな〜てしてます。(笑)

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