頬を撫でる手付きが蛇のように感じた。何故その様な印象を受けたのかは分からないが、妙に心臓の辺りがざわめく。
真田は顔に添えられた指を、それから目を見た。色白の諸肌に間接照明の橙が流れ、色素の薄い目は重く深い影の奥に垣間見えている。至極楽しげに湾曲しているその眼差しは真田を何とも落ち着けない気分にさせた。
真田君。普段よりも数トーン抑えた声が、深夜の静まり返った空気に響く。それは透き通った穏やかな低音ながら、まるで古傷が呼び起こされたかのような疼きを真田に感じさせた。
体を起こし、真田は上から枕元を眺める。先程まで視線上にあった瞳は、その行動を嬉しそうに追従する。何が面白いのか、寝起きの真田の頭はまずそんなことを考えた。





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