2018/03/01
吸血『鬼』と呼ばれるからには、そう簡単に死にはしない。何、血は随分抜かれてしまったが、少々体が軽くなった程度だ。だから、ただ妻を見つめていた。美しい妻。自分と同じ銀の銃弾をその胸に受けた。それだけなのに、人間は呆気なく死んだ。――聖杯にかける願いは一つ。もう一度、彼女との生を。