「――飲むか?」
葛西はそう時任に声をかけ缶コーヒーを渡す。自分たちにも事情聴取があるため残っていたのだが何より沙織の容態が気になった。
「――沙織の家族に連絡を、いれたの。でも今までもめごと起こして警察の世話になってたらしくて…」
「警察だと名乗った途端、お任せします。だとよ。」
そうこうしている間に沙織が目を覚ましたという知らせを受けた。
妊婦という事で点滴は使えない。また、医者とはいえ知らない人間では警戒すると思われたことや、警察から話があるためNo nameたち3人はご飯を持って沙織の病室へと向かった。
「沙織、ご飯食べれるかな。」
「食わなきゃいけねーんだろ?」
「そうだけど。W.Aの死体視て、普通にご飯食べれると思う?」
「それは――」
「No nameも時任も心配しなくても大丈夫でしょ。お腹の子が心配なら――生きようと思えるなら食べるよ。」
「――そうかな。どっちにしろすぐには食べられないよ。人間は強くないもの。」
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