現場に着くとたくさんの人と警察が集まっていた。その中に葛西を見つける。
「葛西さん。」
「おう。なんだ誠とNo nameか。」
「こんにちは葛西さん。」
「時坊じゃねーか!久しぶりだな。おい元気か?」
葛西さんも時任のことを気に入っている。しかし、いつまでもじゃれているわけにはいない。本題に入る。――獣人化した遺体についてだ。
葛西さんから遺体の情報を聞いていると後ろから声がする。
――沙織が、いた。
話を聞いていたのだろう。久保田の制止の声を聴かずに運ばれてきた遺体にかかっていた布を取ってしまう。
そこにいたのは、獣人化した上半身だけの遺体。
No nameは初めて見るわけではないが、気のいいものではなく思わず顔をそらす。
沙織は、気を失い倒れてしまった。
その時、No nameは沙織の「なんで。」という声を聴いた気がした。
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