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聞こえた声
暗い
くらい
昏い
クライ
何も見えない。
貴方はだぁれ?
私は、だぁれ?
また、会えますか?
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それは、それは
とても弱々しい声だった。
貴女に会うことは必然だったのでしょう。
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ある、雪の深い日に峯明は毎度のごとく修行を木の上でサボっていた。しかし、いつもは修行から逃れるためであるが今日は違った。今日は胸騒ぎを覚えたのだ。何かが失われてしまうような予感があったのだ。
やがて、立ち上がり己のカンを信じ峯明は歩き出した。
「ッ!」
雪に視界を奪われながら歩いた先に祠のようなものを見つけた。そして、祠の前に雪に埋もれる赤子の姿があった。
赤子の頬はふっくらした見た目に反し血の気がなく命の炎が消えかけていることは明らかだった。
「これは!?早く温めなくては!」
峯明は赤子を抱き自らの懐に入れ少しでも赤子を雪から守り体温を戻そうと気を付けながらも出来得る限りの速さで寺院に戻った。
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「ちょっとそこどいてください!」
「――ッ!峯明!お前修行をサボってどこに――!」
峯明は寺院に戻ると赤子をすぐ湯に入れた。途中、誰かに声をかけられたがそんなこと気に留める余裕も猶予もなかった。そんなことよりも早くこの赤子を助けなくては。
「ああ、よかった。なんとかなりそうですね。」
湯浴みを終わらせ、部屋に戻ると桃醍や玄灰たちがいた。それも、そうだろう。峯明が修行をサボるのはいつものこととはいえ、いま峯明の腕の中で寝ている赤子はなんなのか。無視できる話ではないのだ。
「峯明。その赤子、どうした」
「――拾いました。この雪の中では放っておいたら死んでしまう。桃ちゃんたちは知らないふりをしてくれれば、あとは私が何とかします。」
「峯さん。その子、どうするの。」
「育てます。拾ってきてしまいましたから。」
「――バカなことを言うな!ここでは無理だぞ!だいたい!お前が育てられるとは思えん!」
確かに、ここは子供を育てる場所ではない。ここは三蔵法師を目指すものが集まり修行をしているところだ。桃醍の言う事はもっともだ。峯明はそれを理解したうえでいっているのだ。
このまま、口論になろうという時だった。
う゛ー。ぁあーあー。
「あぁ、泣かないでください。びっくりしちゃったんですよね。大丈夫ですよ。ホラ。」
うー。あ!きゃっきゃ!
桃醍の大きな声に驚いたのか、赤子が泣き出してしまった。しかし、峯明があやすと赤子はすぐに泣き止んだ。それどころか赤子はあやされてうれしそうに笑い声をあげている。これには皆驚きを隠せなかった。
――だが、桃醍たちは気づいていた。峯明が本気であったことを。赤子が泣き止まなければ――峯明に懐かない様であれば自分たちが代わりに面倒を見ることはできない。どこかで育ててくれる人を見つけるしかない。そうなってくれるのが一番だと考えていた。
実際は赤子は峯明に懐いている。もう、止めても聞かないだろう。
そうして一ノ班は全員で待覚のもとへ、赤子を育てる許可をもらいに行った――。
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