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7
あまりに必死に訴えるものだから皆、黙ってしまう。まるで開いた穴を埋めようと理由を探し求め、何かの影を追いかける様は…どこか重なるところがあったのだろう。
「足手まといはいらない。お前がまともに戦えるとは思えん。」
「三蔵。No nameちゃんはそんなモンない世界から来てんだぜ?それを求めるってのは酷なんじゃねーの。」
「――わかっています。でも、私は自分を守る術をちゃんと持っています。私に足りないのは…実践だけです。」
No nameのその言葉で、先ほどの戦闘を思い出す。確かに、自分自身を守ることはできそうだ。しかし、力が不安定なのかすぐ気を失ってしまったのも事実。本人の言う通り、実践が足りていないのだろう。
「三蔵。良いじゃないですか。力に関してはこれから特訓していけばいいんですから。」
「そーだよ!しかもNo nameめちゃくちゃつえーじゃん!なーさんぞー!」
「うるせえよ!このバカ猿!――勝手にしろ!」
三蔵のその言葉を聞き、八戒、悟浄、悟空はうれしそうにNo nameに話しかける。No nameは認めてもらえるとは、思っていなかったために呆けた顔をしている。
実際、No nameを連れるメリットなどほとんどない。女であることから気を使わせるだろう。女であることから野宿の方法も変えなくてはならないだろう。部屋も余分に取る必要があるだろう。力仕事も、鍛えている男たちがいるのだからNo nameの出る幕などありはしない。
――それを含めて、認めてもらえたことがNo nameにとってうれしくもあり、申し訳なくもあった。だが、認めてもらったのだからNo nameは宣言した通りやることにする。実践を多く積むという事は、今までの生ぬるい生活には戻れない。だが、No nameは皆の手を取ったのだ。――
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