No nameの話はにわかに信じ難いものだった。

 異世界から来たのだという事もそうだが本人の体感では4,5年前にこちらの世界に来ていたという事だ。しかも、拾ってくれた人は三蔵法師になるべく修行をしていたという。
 彼らから法術も体術もいろいろ教わったのだそうだ。また、その時No nameはあり得ない成長を遂げていた。

 そう、簡単に信じられる話ではない。だが、嘘は言っていないと確信していた。
 まるで、No nameが迷子の――子猫のように怯え縮こまっていたからかもしれない。

 「――あいたいんです。みんなに。やくそくしたから。――でも、わたしちいさかったし。身体が大きくなっても、精神までは成長してなかったみたいで。みんながどこにいるか、わからないんです。」

 「三蔵!なんかしらねーの?No nameの友達のこと!」

 「知るかよ!」

 No nameは悲しそうに目を伏せはしたが、予想はしていたし期待は最初からあまりしていなかったのだろう。さほど、落ち込んでいるようにまみえなかった。

 「うーん。困りましたねえ。その人たちに会わせてあげられたら良いんですけど…。」

 「No nameちゃん。その人たちの名前とか特徴は?おれらが知ってるやつかもしれねーし。もしかしたら、そこの三蔵様が知ってるかもしれないぜ?」

 悟浄の言葉にNo nameは少し考える。

 ――さっき知らないと言われたばかりではないか。知っているわけがない。でも。でも彼は“三蔵法師”で1番みんなに近い。

 何より彼らは夢に出てきた。峯明たちのくれたお守りのおかげだろうか。私に、なにか機会を与えてくれているような気がするのだ。――







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