「ちっ――めんどくせえな。」

 「なー三蔵。あいつどうすんの?」

 「知るか。」

 「でも、彼女が捕まっているのは僕たちのせいですよ。」

 「三蔵サマはもっと女を大切にした方がいいんじゃねーの?」

 妖怪たちは三蔵一行の呑気な会話に苛立ちNo nameに刃を寄せる。No nameはと言えばどこか他人事のように眺めるだけだった。

 「いい加減にしろ!経文をよこせ!」

 「――さ、い。」

 「あ?」

 「?どうかしましたか?」

 「うるさい!」

 No nameが叫ぶと同時に周りにいた妖怪たちが吹き飛ぶ。まるで、空気がNo nameの感情に反応しているようだった。


 No nameは皆から与えられたものを傷つけるために使いたくはなかったが――耐えられなかったのだろう。
 頭がパンクしてしまいそうなくらいの重要と思われる情報がNo nameの中に入ってきたのだから。







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