5
「ちっ――めんどくせえな。」
「なー三蔵。あいつどうすんの?」
「知るか。」
「でも、彼女が捕まっているのは僕たちのせいですよ。」
「三蔵サマはもっと女を大切にした方がいいんじゃねーの?」
妖怪たちは三蔵一行の呑気な会話に苛立ちNo nameに刃を寄せる。No nameはと言えばどこか他人事のように眺めるだけだった。
「いい加減にしろ!経文をよこせ!」
「――さ、い。」
「あ?」
「?どうかしましたか?」
「うるさい!」
No nameが叫ぶと同時に周りにいた妖怪たちが吹き飛ぶ。まるで、空気がNo nameの感情に反応しているようだった。
No nameは皆から与えられたものを傷つけるために使いたくはなかったが――耐えられなかったのだろう。
頭がパンクしてしまいそうなくらいの重要と思われる情報がNo nameの中に入ってきたのだから。
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