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No nameのありもしない、現実味のかけらもない話を聞いた周りの反応はざまざまだった。前世の記憶なのではと騒ぐもの。妄想だというもの。医者や親は倒れたことにより記憶があいまいになり本と現実がわからなくなっているといった。

医者や親の言葉により、みんなは私の記憶は倒れた後遺症だというが、そんなことはない。
この事実は、私だけがしていればいい。

私の身にはみんなの思いが詰まっている。

ピアス、ネックレス、数珠・・・いつも私を助けてくれる、胸にある桜。親は誰かがお見舞いに来て置いていったと思っているようだがそれは違う。これは、峯明たちが私に贈ってくれたものだ。この世界にちゃんと持ってくることができたのだ。

この思いだけは汚されないように、だれにも言ったことがない。アクセサリーだって触らせない。



苦痛ともいえる学校も放課後を迎えた。No nameはまっすぐ家には帰らずに近くにある丘の大きな桜の木の下で法術の練習をする。皆に教えられたことを忘れないように。

「……オ…ン……ソワ、カ………」

No nameが願うのは、峯明たちの世界に行き再び会うこと。もう、No nameにとってここは自分の生まれた世界ではないに等しい。
峯明たちの居る世界。こことは違い、妖怪がいる世界。ここはインターネットなどが発達しているが、向こうはそんなものはない。だが、あの世界こそがNo nameが生きる世界なのだ。

――かえりたい――

その一心で、みんなから与えられたものを失わないように過ごす。叶う可能性の低い願いを胸に抱きながらNo nameは真言を唱える。

真言を唱えていると強風がNo nameを襲う。視界が奪われる中、No nameが見たのは夢で見た世界。


4人の男たちの姿だった。―――




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