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「とりあえず、No nameに必要最低限の知識を与えよう。」

桃醍の言葉に皆うなずいた。No nameを守らなくてはならないのだ。無知なままでは守りにくい。No nameには世を知ってもらう必要があった。普通であれば成長の過程で自然と知っていくことから丁寧に教え込む。
時間は限られているため、つまずくことのないように工夫を凝らしながらNo nameに教える日々。その過程で皆が気付いたこと。それはNo nameの成長が止まったということだ。
No nameは14,5歳のまま成長を止めた。今までの急速な成長が嘘のよう。そして、日に日にNo nameの体は透けていった。

「にしても、成長止まったな。」

「体もどんどん透けていってるよ。消えてしまうようだ。ね。」

「・・・玄灰。何か視えるか。」

「――いや。何も視えない。俺が視ようとして視えないのは初めてだ。」

「…まるで…」

「峯明?」

「まるで、体がどこか別の場所にあるような。No nameが体の成長に追い付いたような感じがします。」

「精神だけの存在と言いたいのか。触れられるというのに。」

「わかりません。ですが、No nameはこのまま消えてしまうでしょう。」

No nameのことに関して皆、それぞれ思うところがある。しかし、可愛がっていた子供だ。どうにかしてやりたい。何か、してやりたいのだ。
だから、No nameに教えられることを教えようとしている。

「峯明君。何か考えるより行動した方が良い。ね。」







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