成長



 No nameは一ノ班の皆に囲まれすくすく育った。やはり峯明には懐いているため、峯明の言葉をまねたり、素直に甘えたりしているのが何とも微笑ましい。
 
 ――だが、No nameの成長は普通ではなかった。速いのだ異常なくらいに。峯明が連れてきたとき1歳になるかならないかであったNo nameは3か月程度で2,3歳くらいになった。この有り得ない成長に周りは異形だ妖怪だと騒ぎ立てた。
 あまりにも周りが騒ぐためにNo nameは日に日に元気がなくなっていくのを一ノ班はどうするべきかを考えていた。確かにこの成長はおかしい。体の成長に伴いはっきりと発音するようになったところもある。しかし、中身――精神は変わらないままだ。よって言葉は拙く理解力も幼子と変わらない。子供であることから周りの大人たちの感情に敏感に反応し顔を窺っているようなところさえある。

幼子であるNo nameにはあまりにも酷な状況に皆は策を打つことにした。

「周りの人たちもNo nameのかわいさに気付けばいいんですけどねー」

「ねー」

「なら、周りのやつと遊んだらええんやないですか。なあ、峯明はん。」

「おい、デブ。あいつらが遊ぶかよ。逃げるだけだろうが。」

「そないなこと言われましても。じゃあ、お蝶はんはなんかいい案ありますのん。」

 No nameは皆が難しい顔をして話し合っているのを不安そうに見ていた。皆はそれに気づき口をつぐんだ。
 不安にさせてしまったお詫びと皆はNo nameと遊んでやることにした。

「ほーらハトですよー」

「峯明!室内でハトを出すな!」

「きゃー!」

「仲良く仲良く。ね。」

「おっさん、肩にはとのってんぞ」

「はとー」

 皆は、No nameが遊び疲れ寝付くまで遊んでやった。
 
 結果特にいい案が浮かぶことなく朝を迎えることとなった。




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