ピアスしたくて耳に穴をあけたら、白い糸が出てきて引っ張ったら、失明したなんていう都市伝説は有名。昔はそれを信じていて、寧ろ穴開けたら其処が化膿して膿だらけに……なんて考えたりして。もう恐怖。因みに今も恐くてピアスとか開けられない。 それなのに、世に言う構ってちゃんでありデカわんこの黄瀬涼太は、何故だか片耳にピアスをつけるようになっていた。 なんでだー!! 中学卒業するまでたしか無かった気がする。痛いの嫌なんスよねぇなんて笑ってたのは何処のどちら様?大好き青峰くんがなんか言ったの?それか左耳は勇気と誇りの象徴とか右耳はゲイの象徴っていうアレ信じてる?緑間くんの影響とか?うわー……そんなこと気にするタイプだったの? え、でもそこまで女々しい男じゃない筈だから、多分、多分……。 黄瀬の左耳を触る。ふにふにした耳朶の感触と、ピアスの冷たい感触がミスマッチで仕方がない。黄瀬は擽ったいのか、笑っている。 「擽ったいんスけど」 「うーん……」 今度は右耳をグイッと引っ張る。引っ張る。 「いいいイタイ!ちょ、痛いんスけどっ」 「うーん」 ギャアギャアと喚く黄瀬の頭を叩く。「痛い!」と喚く黄瀬に、「やっぱりなあ」と呟く。 コイツは、誇りだの勇気だのを象徴したかったのでもないし、青峰くんの影響でもない。 絶対、コイツはただの痛がりで怖がりだ。それだけだ。 120818 |