突然だけど、黄瀬涼太、17歳。この春、とうとう好きな人ができた。そして、失恋が確定した。早い話が好きな人から恋愛相談という名の爆弾を落とされたのだ。まぁ、それだけじゃない。一生、好意の矢印が交わる事はない恋愛に焦がれてしまったのだから。


「じゃー、黒子っちはどうにかして○っちに振り向いて貰いたいって訳っスね」
「黄瀬くん、声が大きいです」

頬を染め、背中を叩いてくる彼にバレない程度の苦笑い。痛む胸を隠しつつ、彼の話に耳を傾ける。 …嘘。彼の話は左から右へ、すっと通り抜けて行く。都合のいい単語だけ拾い上げて、いらないものはさようならっと。

「んー、てか○っちの事なら俺より桃っちのが詳しくないっスか?」
「それはそうなんですけど、あの2人は仲が良すぎて、引き離しにくいというか」

ふいっと彼女達へ移された視線を追うように、其方を向く。そこにな仲睦まじく話に花を咲かせる女子が2名。桃っちの綺麗な髪の毛と○っちの綻んだ顔。無いはずの花の背景が見える程度には、あの空間は作られているのだ。

じっと見つめていると「あれだと○さんどころか、桃井さんすら話しにくいの、分かるでしょう?」と愁いを帯びた声が耳を掠める。あー、○っちのことは名前呼びなのか。全く違う事を考える頭で「そうっスね」と応える。

その時、視線がやたら痛い事に気付いた。なんだと思って見やると、こちらを睨む様に見つめる○っち。目が合うとはっとしたかの様に、桃っちと視線を合わせ、また綻ぶ。ちらっとこちらを盗み見る桃っちに軽く笑む。そして、気づく。

あー、これは大変な事に気づいてしまったかな。お生憎様、勉学の成績ほど他人の感情が分からないわけではない。寧ろ、こういうのには敏感だ。

残念だけど、君と俺はおんなじ。同じなんだよ。


 side:K

(120703)
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