○と帰路につく放課後。偶然…なのだろうか、きーちゃんとテツくんに声をかけられ、今に至るのだが。○には申し訳ないが、きーちゃんと過ごせる放課後はすごく喜ばしい。


「さつき、何にするの?」
「チョコレートケーキにするか、チーズケーキにするか迷ってて…」
「じゃあ、私がチーズケーキにするから、さつきがチョコケーキ頼みなよ」

○はとてもやさしい女の子だ。そんな優しいところにテツくんは惚れたのだろうか。その気持ちは悔しいほどわかるが、残念ながら私はライクでしかない。

ファミレスと言えばドリンクバーだ。○に欲しいドリンクを尋ねたのち、二人分を注ぎに向かう。頼まれていたアイスティーを注ごうとしていると、後ろから聞き慣れた声に名前を呼ばれた。

「あ、テツくんもドリンク?」
「はい。あ、それ持ちましょうか?」

レディーファースト、紳士的。これがテツくんのいいところだ。こんなにもいい男なのに、どうして○は靡かないのだろう。やはりきーちゃんのことが…いやいや、そんな考えはやめよう。

「テツくん」
「はい、なんでしょう」
「○のこと…すき?」

不意を突かれたような表情を浮かべたかと思うと、ふっと笑みを零し「ラブかライクかと問われればラブです」と答えた。まあ、知ってたけどね。私もきーちゃんに対してそうだと答えると、知っていたと。まあ、そうだろう。

「提案なんですけど、協力し合いませんか?」
「……なんで?」

にっこり。コイツは何を言っているんだろう。それを悟られまいと張り付いた笑顔を浮かべる。すると彼は飄々と「貴女が心底邪魔なんですよ」だと。これまた随分嫌われたもんだ。存外、私と思考は似たり寄ったりのようである。

「私も、テツくんときーちゃんいっつも一緒だから、チョー邪魔」
「邪魔に思ってる同士、協力したほうが丸く治まると思いませんか」
「…すっごく腹立たしいけど、その話、乗るしかない状況ね」

ちらりと自分たちのテーブルを見やると、何やら話し込むきーちゃんと○。きーちゃんの表情はここからじゃ伺えないけど、口端を上げた大人っぽい表情をする○にゾクリとする。

「とりあえず、アイスティーちょーだい」
「はい」
「…握手なんて求めてないんだけど」
「これからよろしくって意味ですよ」

能面のまま手を握るテツくんは本当に腹黒い。彼と手を組むことにより、これからどうなって行くのか…今の私には残念ながら想像がつかない。


 side:M

(120708)
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