招集されますは、神奈川県・海常高校。でかいです、とにかくでかいです。あと周りの人たちもでかいです、規格外です。

「火神くん、目つき怖い。目赤い、怖い」
「っせぇな、寝れなかったんだよ」

日向先輩が感嘆の声を上げるほど広い海常はバスケ部以外もインターハイ常連校、らしい。確かにグラウンドも広かった気がする。うんうんと納得していると、どこからか男の人の声がする。みんながそちらを見やると「黄瀬!」というどこかで聞いた名前が聞こえた。

「広いんでお迎えにあがりました」
「どうも」
「黒子っちがこの前あんまりにもあっさりフるから、毎晩枕を濡らしてるんスよ〜」
「はぁ」
「俺、女の子にもフられたことないのに…」
「さらりとイヤミいうのやめてください」

目の前のキセリョウタさんと思わしきイケメンは黒子くんに全力でアタックしている。そりゃあもう、恋する乙女もドン引きの勢いだ。

モデル…とは聞いていたが、ホモデルだとは聞いていないぞ、友人!

ちょっと引いた目で見ていると、キセリョウタと思わしきホモデル(仮)と目が合った。ので、軽く会釈をしておいた。


「片面コートと全面コートって何が違うの?」

リコ先輩たちがなめくさりおって…!と言わんばかりに更衣室へ向かった隙をつき、降旗君にそっと問う。どうやら片面コートだと正式な試合とは違い、全力が出せなかったりするらしい。うむ、よくわからない。

「とにかく誠凛が格下に見られたってこと?」
「そういうことよ!」

ガン!!っとパイプ椅子と床が響き合う音がすると、眉間にしわを寄せたリコ先輩。ありゃりゃ、聞かれてしまったか。あの髭面タヌキにひと泡…いいえ、ふた泡み泡吹かせてやるわよなどと呟く先輩の隣でメンバーが整列したコートを見つめる。初めて見る、我が誠凛高校バスケ部の試合。一体どんなことになるのだろうか。

(120624)
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