「で、今度の合宿なんだけど」
「そうだな、冬だし…山もいいな」
「山か…うん、この前は海だったしね」
「夏はサーフィン、冬はスキーって相場で決まってるもんな」
「…は?」
「ん?」

ウィンターカップ前の最終追い込み合宿の候補地を考える。別にリコちゃんと日向くんが決めても構わないのだが、如何せん二人は忙しそうなのだ。候補地だけでもピックアップして二人の力になれればと思い、鉄平と話しだすもこのザマである。

「いや、合宿行くんだけど」
「なに言ってるんだ、名前。当たり前だろう?」
「ああ、うん…ごめん?」
「で、スキー場の手配なんだが」
「わかってないのって鉄平だよね?!」

日向くんが鉄平にイライラするのは心底わかる。長年、幼馴染として彼の隣で過ごしてきたが…何度叩き倒そうと思ったことか。むっとして彼に目を向けるも、ほんわかとした笑みを浮かべる彼に脱力。

「まあ、いいや…今回は山ってことで二人に伝えないとね」
「ああ。あとはスキー板も人数分揃えないといけないな!」
「…あ、うん」

もう突っ込むのも疲れました。そういう雰囲気を醸しながら返答すれば、思案顔する目の前の彼。いつも思うのだが、黙っていれば格好いいとは彼のためにあることばあと思う。身長も高く、気遣いもできる。勉強だって出来ないわけではないし、バスケだって全国でも屈強な選手だ。幼馴染としても鼻が高いのだが…。片肘をついて、負けじと思案顔をすれば彼の人一倍大きな手で頭を撫でられる。

「…子供扱いしないでよ」
「いつものお礼だよ」
「なにそれ」

意味がわからないとくすり笑えば「名前には笑顔が似合う」と彼もへにゃり。ずっと昔から変わらないのは彼のこんな雰囲気もだ。そして、彼のそういうところが好きな私も。




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▼さくら様リクエスト
木吉くんと幼馴染マネージャーのほのぼのしたお話。
リクエスト有難う御座いました。
120722
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