「キャプテン、これは無理でしょう」
「んなわけねぇよ」
「私のデータ上では絶対に食べれないんですけど」

周りからの呼ばれ名は夫婦なんて、別にそういう関係ではない。山盛りに積もったオフホワイトのしょっぱい揚げ物は幻想ではない。だいたいこんな無謀をやることになってしまった経緯も馬鹿らしい。致し方ないと思い、ひとつ、それを手に取り口に放る。

「マジバのポテトなんて、元から量が多いのに…これが罰ゲームなんて信じらんない」
「へーへー、俺が悪うござんした」
「そこまで言ってないでしょうが」
「つーか、俺にかけた名字も運がねえだろ。つーことで、食え」

黙々とノルマを課された山盛りポテトを口に運ぶ。ここに火神くんがいたら、あっという間に消えるのかもしれない山は食べても食べても減らない。女子の胃袋ではポテトひとつが限度だというのに。

「日向くんもっと食べてよ」
「食ってんだろ」
「いつもならその倍のペースで食べるじゃない」
「…うちのマネージャーのデータ収集能力は侮れませんな」
「なによ、馬鹿にしないでよ」

先程より幾分かペースを上げて咀嚼する日向くんを見ながら考える。こういうモノを覚えているのも、夫婦と呼ばれてしまう所以なんだろう、と。別に賭け事に乗った他のメンバーはいないので、こういうイベントを回避しても何ら問題はないのだが…彼の性格上それは無理なのだろう。そろそろ限界を感じる胃に喝を入れながら、流しこむ作業に徹していると、にゅっと出てきた褐色の腕。

「お前ぇら、なにやってんだ」
「「青峰!」」
「バカ見てえにポテト山積みにしやがって」
「よかった、君最高だよ、天使だよ!」
「あ?わけ分かんねえこと言ってっと、赤司に連絡すっぞ」
「ごめん、アレとは話したくない」
「へーへー…、つーかこれ、食っていいか?今腹減っててさ」
「おおおおおう!!どーぞ食ってくれ。たーんと食べるんだぞ」
「おう…なんか気持ちわりいぞ、お前ら」
「そんな事ないわよ!ねえ、日向くん」
「そうだな名字…、んなことねえぞ!」
「ふーん、んじゃいただきますっと」

どっかりと席に鎮座し、ポテトの山を崩しにかかる青峰。そんな彼を横目に、私と日向くんが「命拾いした」などと安心したのは言うまでもなく。


彼らはいつだってです


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▼鼻様リクエスト
日向くんとおしどり夫婦っぽい女の子がたのみすぎたマジバのポテトを押し付けあう話。
リクエスト有難う御座いました。
120721
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