チクリと刺さる痛みに思わず自分じゃないような声が出る。そんな様子に満足したのだろうか、今だけは下にあるオッドアイが妖艶に弧を描く。「今、誰が名前の所有権を握っているのか、ちゃんと教えてあげないとな」制服で隠れるかどうか、ギリギリのラインへと執着に残す証は、彼の頭髪と同じ鮮やかなだ紅だ。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、青峰くんと話しただけだ。ちょっとだけ、青峰くんの掌が私の頭を撫ぜただけだ。仲間同士のスキンシップだってことは彼…征十郎くん自身も気づいてはいるけれど、それ以上の何かが奮い立たせているのだろうか。「せい、じゅ…ろ、くん」「なんだい?」「ごめんね、ごめっ…」「さて、何に対して謝っているんだい?」細められているはずなのに、笑んだ雰囲気を微塵も見せない表情に心臓が大きく鳴る。いつの間にか出ていた私の涙を舌の先で掬うと、唇は私の耳元へと落ちる。「名前が悪い子だから、いけないんだぞ?」  ――嗚呼、堕ちてしまう。




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▼花梨さま
独占欲の強い赤司くんが首にキスマークを付けるお話。
リクエスト、有難う御座いました。
120709
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