季節は巡り、また春の季節がやってくる。何度も何度も繰り返されるそれは月日の流れを物語るには持って来いだ。変わらず繋がれた手に感じる温もりに頬が緩むのを感じた。車窓から見える景色は、あの日より懐かしく感じるのはそれだけの時間が過ぎてしまったからだろうか。


「みんな元気にしてるんやろか」
「しているんじゃないのか、あいつらなら」
「せやね」
「それにしても、名前は京都にきた途端に関西弁に戻るんだな」
「だって、懐かしいねんもん…うつってまう」
「…なんだか、昔を思い出すな」


同じく車窓から見える景色を楽しむ征十郎も、初めて出会った頃よりぐっと大人になった。あの頃を懐かしむ横顔に繋いだ手をきゅっと握る。


「まさか名前がさつきのことを彼女だと思い込んでるとは思わなかったよ」
「…征十郎がさつきちゃんに向かって、あんな顔するのがあかんねん」
「そう不貞腐れるな、過ぎたことだろう」
「わかっとる」


ぶすっという効果音が付きそうなほど尖らせた唇に、繋いでいない彼の反対側の指が触れる。軽く睨みつけると、ふんわりと笑う彼。幸せな時間というのは、こういう時を言うんだろうか。睨んでいたはずの目元がゆっくりと笑みを浮かべるまでにそう時間はかからない。


「みんなびっくりしてくれるんかな」
「さあ。僕らが結婚するのなんてわかりきっていた事実だからね」
「そうやって…すぐにからかうんは変わらへんね」
「からかってなんかないさ。本当のことなんだから」


互いの左手に光る指輪に誓う。これからも幾度と無く巡り変わる四季を共に過ごして行く、と。




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120707
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