彼女ができた。俺と付き合うのが人生初だという、初心な彼女が。そんな彼女を所謂おうちデートに誘った。提案した日の染まった頬がアクセントの可愛い笑顔を思い出し、思わず破顔。いかん、ピシッとしなければ。

お邪魔します。玄関に響いたソプラノとふんわり香ったシャンプーの香りと少しだけ緊張の感じられる空間。ドキドキと鳴る心臓を隠しながら、部屋へと案内する。「青峰くんっぽい部屋」と笑う彼女を見て、急いで片づけてよかったと心底安心したのは別の話。

お茶を準備して、おうちデートの定番、映画観賞へと取り掛かる。特に見たいものはなかったので、名前に託したところ、今回は話題のアニメ映画を見ることとなった。DVDをセットし、雰囲気を楽しめるようカーテンを閉め暗くする。いざってなった時、名前の居場所に違和感。所在なさげというか、申し訳程度にベッドに腰をかけた名前に思わず笑みを漏らしてしまった。「なにやってんだよ、落ちるぞ」「うあ、やや、だって」「こっちこいよ」ぽすぽす。自分が腰掛た付近の布団を叩いて、名前を呼ぶ。視線を泳がせ、堪忍したように「お邪魔します」と座ったのは、俺の膝の間。…間?!「あ、あれぇ…」「え?え?」「あー、いや、隣に来いって意味だったんだけど」「あ…、うああああ、ごごごご、ごめん」「別にこれはこれでいいけど」「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて」頬をぽりぽりとかいた後に、名前の腰へと手を回す。鼻腔を掠めた名前の香りに、これは映画どころじゃないな、と後悔したのは数十秒後。




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Thanks 5000hits
蜜の香りは罪の香り
某少女漫画のこの件が大好きです
120702
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