たぶん、つーかきっと、この娘は真ちゃんの事が好きだ。確証が持て無いのはこっちに振り向いて欲しいなんて考えがあるからで。放課後の教室、職員室へ日誌を届けに向かった真ちゃんを二人で待つ空間は少しだけ、甘酸っぱい。「もう夏だねー」「確かに。梅雨っつっても、ほぼ夏だもんな」ふわふわ、彼女の笑い方を例えるならばこの効果音が当て嵌まる。「高尾くんは夏休み、なにか予定あるの?」「名前ちゃんってば気が早いねぇ…んまぁ、予定っつっても、部活一色ってとこかな」「あ、お疲れ様でございます」「ありがとうございます」ってことは、緑間くんもか。彼女が漏らした一言に胸がズキリと痛む。先に俺の予定を訊いて、それとなく真ちゃんの予定も訊いちゃう。なんて高度なテクニックなんですか、それは。それとも、期待しちゃってもいいんですか。悶々と考え込む中、そういえば、と話題転換の声。「今度の七夕まつり、高尾くん達はいくの?」「真ちゃんはどうかわかんねぇけど、俺は考え中」「そっか…そっか、そっか」「なんだそれ」「誘っちゃおうかなーって」「…誰を?」期待半分不安半分、そんな面持ちで彼女に問いかける。どっちを、とは訊かない俺はヘタレなのかもしれない。そんな事は露知らず、にーっと笑った彼女は一言「内緒」と。あぁ、どこまでも喰えない娘だ。


きみの心に触れさせて。


−−−−−
Thanks 5000hits
鷹の目でも見抜けない
120702
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -