うそつきを愛する事は、即ち、自らも嘘に手を染めるということだ。まどろんだ空気は私たちの世界をいとも簡単に支配していく。薄く香るポールモールに無駄だとわかりながらも、軽く咳払いする。

「名前っち、煙草ダメだったっけ」
「別に。嫌いじゃないけど、好きでもないってだけ」

ふーん、っそ。自分から聞いてきたくせに黄瀬はさほど興味なさ気に相槌をうつ。朝とも夜とも言えないこの時間だけが二人の味方である。もうすぐ朝日が昇る。私たちに光は似合わない。暖かくはない気温は人肌恋しくなる。シーツだけを被った体のまま、半裸で煙草を吸う黄瀬に寄りかかる。

「どしたの」
「寒い」
「寂しいの間違いじゃないスか」
「生意気」

そのうるさい口は私の唇で閉ざしてあげよう。ゆっくりと、深めのキスをする。どちらとも言えない吐息と透明な液体は交ざり合っては消えていく。ダイタンと黄瀬の唇が形を作る。そうさせたのは誰よ。コントロールを失った私の体はそっと暗がりへ傾く。このままふたり、どこまでも堕ちていけたらいいのに。


あなたのに惚れたの
どこまでもどこまでも、まっさかさまに、落ちて行け堕ちて逝け。


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1000hits・黄瀬くん
許されない不純

image song/Alice
P e o p l e I n T h e B o x
120630
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