初夏の日差しにも近い、5月。梅雨入り前だと云うのに、この蒸し暑さにはお手上げだ。カラッとした暑さなら我慢できる、が、この暑さは・・・。

「死ぬー・・・。」
「いや、生きろよ。」

隣りの席の青峰はさらりと、そして爽やかに言い放つ。というか、お前の存在自体、爽やかかつ暑苦しい・・・・・・・だなんて言ったら、その後の事が手に取るようにわかってしまって少し腹立たしい(ってのは内緒だ)

「ねー、ねー」
「んぁ?」
「(んぁ?)ノート見せて」
「無理だな」
「ケチ」
「うるへー」

好きなオンナノコや可愛いオンナノコにやったら逆に貸してやりたくなるんだけど―・・・、

何気ないそんな青峰の言葉に傷つくなんて、あたしも女捨ててないな。その後に続く言葉は『名前はねぇ・・・』でしょ?じゃあさ、あたしがあんたをスキだと言ったらそのノートを見せてくれますか?・・・・・・・・まぁ、あたしの気持ちはそんな安っぽいものではないのだけれど。

「青峰のアホー」
「はいはい」
「だけど好きー」
「へーへー俺もスキー」

くすくすと笑うように返してきた青峰。・・・・・・・、ねぇ、その好きに期待してしまうあたしはやっぱり馬鹿ですか?すっごく単純かもしれないけど、それでもあなたが好きなんです。


名もない
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