※WJ169Qネタバレあり
コツ、コツ、コツ…
長い廊下に響く足音。なんとなく、今1番会いたくなくて。けれど、今1番会って抱き締めて欲しい人が近付いてきた気がして目元を擦る。
「負けちゃったね」
「…知ってるし」
くすくすと笑いながら、わざわざ現実を突き付ける彼女に少しだけムッとする。しゃがみこんだ俺の横に腰を落とすと、顔を覗き込んで「泣いてる?」って。本当無神経にも程がある。
「泣いてねぇし」
「えー、ほらここ、涙と鼻水」
「これは汗なのー」
「強がり」
「うるさい」
「じゃあ、黙る」
そういうと名前は此方に手を広げ、どうぞと一言。なんだよ、本当。一瞬だけ躊躇うけど、所詮甘い蜜には勝てないもので。(だって甘い物好きだし)重力のまま、名前の胸に飛び込む。
「敦、本当バスケ好きだよね」
「好きじゃねぇし、もうやめる」
「やめちゃうのー?わたし敦がバスケしてるとこ好きなのに?」
「…それでも」
「また敦がバスケしてるとこ見たいなぁ」
「…まいう棒10本で、また見せて、やらないこともないよ」
「へへへ、ありがとう」
背中に回った手に力が込められた気がした。もう暫くは名前のためにバスケ続けてやろう。別に、名前に好かれる為なんかじゃ、ないけど。
彼女の平熱はとろける35度07分
彼女の平熱はとろける35度07分
−−−−−
私の中のむっくんは割と強がりさん
で、年上(精神的にも可)に慰められる、みたいな。
169Qの泣いてるむっくん、可愛かったです
120626