※ぬるいですが性的表現があります。閲覧はご自身の判断でお願いいたします。


学校で毎年定期的に行われている歯科検診に、大したことないのだが、引っかかってしまった。

一昨日の放課後に配られたプリントを片手にやってきた歯医者。独特の香りがする院内とトラウマを呼び起こすようなモーター音。自分と同じようにやってきたであろう学生がちらほらといる待合室に暫く待機していると「赤司さん」という涼やかな声が響く。

如何にも歯医者です、と言わんばかりの診療台に寝かされ治療が始まる。かつての仲間が言っていた「歯医者で治療されているときの顔は見せたくない」という思いが今なら分かるかもしれない。馬鹿みたいに口をあけて、その中に人の手やら器具やらが突っ込まれ、少しばかり嗚咽。その瞬間にフラッシュバックする先日の記憶。


「え、ちょ、もうすぐ部活始まるじゃん」
「そうだな」
「そうだな、じゃないわよ」

弱い抵抗を見せる名前の腕を軽く抑え込みながら首筋にキスを落とす。んっという甘く吐きだされた息と共にぴくりと体も反応を見せる。

名前は彼女ではない。部活のマネージャの一人だ。8週間ほど前だろうか、詳しくは覚えていないが、お互いに部活にも高校にも入りたてのくせに、無駄に性欲はあった。ソウイウ空気になってしまったのが悪いのか、好奇心がいけなかったのか。互いに流されるように求めあい、互いにハジメテを捧げあった。そこから何を間違ったのだろうか、所謂、体だけの関係を気付いてしまい今に至っている。

ゆるく反応をみせる自身と彼女の体。そっとキスをし、舌を絡め取ると、それに応えようとする自分のものではない舌。とはいえ、本当にあと20分ほどで部活が始まってしまう。うちはほぼ自主トレのような練習がメインなので10分ほどの遅刻は許される。とはいえ、本番まで迎えてしまうとなれば、それどころの遅刻ではすまない。

「んっ…、?!」

キスをしながら、そっと名前の手を誘導する。絡め合っていた唇を名残惜しげに離し、今度は名前の耳元へ。耳元へキスを落とし、耳たぶを愛撫しながら、そっと囁く。


「今日は口でヨロシク」


あのとき口の中に突っ込まれている名前はこんな気分だったのだろうか。違う点は自分自身とは違い、やけに煽情的であったのは確かだ。

そうだ、この治療が終わったら、その足で名前の元へ向かおう。先日の続きと、また名前の口が恋しくなってしまった。嗚呼、名前ってやつは罪な奴だ。




『征十郎くんのは蜂蜜みたいに甘い』
― 嘘つけ、軽くキスしただけで吐気を催すようなものじゃないか

−−−−−
1000hits第3弾です
イメージ曲自体が少しばかりエロティック
で、こういうことがさらっとできるのは赤司くんかな、なんて
独断と偏見です。

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蜂蜜と風呂場/ク リ ー プ ハ イ プ
120620
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