帝光中バスケットボール部。連戦連勝、勝つことが全て。部員数は100人を超える、我が校が誇りの部活。そんなバスケ部のマネージャーとして、部に所属している。言うほど仕事が早いわけでもないが、それなりに部員からの信頼は在る方だと思っている。
 そんな私は1軍スタメンの青峰くんに想いを寄せている。…一目惚れ、だった。元からバスケは好きだった。小学生の頃はプレイヤーとしてバスケに励んでいたくらいだ。そんな中、部活動見学中に見つけた彼の姿。キラキラ眩しい笑顔を振りまいて、唯一無二のスタイルでプレイする彼に私の目は釘付けだった。きっとその時から彼のことを好いていたのだろう。
 彼のことはただ見てるだけなんですー、って展開ならばどれだけよかったことか。残念ながら体型だけは彼好みらしい私は、彼の幼馴染である桃井さつきちゃんの次に彼から声を掛けられる存在となっていた。彼に近くなることは喜ばしいことだったが、私の心は徐々に陰りを見せていた。
 ある日のことだった。主将である赤司くんに部室の掃除を言い渡された。渋々ではあるが、男臭い室内に入り指定された方法で掃除をしていく。少しずつ近づいてくる彼のロッカーに心臓はどくどくと大きな波を打った。
 彼のロッカーからちらりと見えた女性の写真。間違いなく彼が熱を上げている堀北マイちゃんのものだ。女性から見ても確かに可愛らしい容姿に、ぎりっと奥歯を噛み締めた。
―――この人みたいになったら、私も彼に好かれるのだろうか。
 邪な考えが脳裏を過ぎった時、手に握っていた写真集がビリっと音をたてた。ああ、やってしまった。無駄に力の入った己の手を恨んでみてもしょうがない。バレてしまえば私は彼に、彼は赤司くんに怒られてしまうのだろう。それならばそっと捨ててしまおう。
 手に持った写真集をゴミ箱に入れてしまおうかとした時、部室の扉は開いた。

「…何してんだよ」

 ずかずかと近づいてきた彼に、きゅっと喉の奥がしまる。怒っている。雰囲気も空気も違うのだ。いつもの柔らかい、明るい彼はどこにもいなかった。思わず出てきた私のか細い謝罪も、彼に一蹴されてしまう。

「これが、ロッカーから飛び出てて…赤司くんに見つかるよりも、その」
「なんで捨てる必要が…って、破けてんじゃん」

 ビクリと肩が跳ね上がった。もう一度出てきた謝罪にも彼は耳を傾けてはくれない。
 
「だって!…この子みたいになったら、青峰くんに好かれるのかもしれないと思ったら、」

 ぎゅっと握りしめた掌は先程よりも力が篭った気がした。私はいったい何を言っているんだろう。そう思っているのに、握りしめた掌と同じタイミングで閉じた瞼はなかなか開くことが出来ない。
 意を決してゆるゆると開いた視界の中で見つけたのは、綺麗な浅黒の肌を少しだけ赤らめている青峰くんが居た。なんだよそれ、って。そんなの、そういう反応してるキミに私が聞きたいよ。

持ち物検査をしましょう

 
姫沙様リクエスト/121215
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テーマ「人外ファンタジー」
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