目にも眩しい季節がやってきた。太陽も、それを跳ね返す水なんかも眩しい。また、この時期になると学生も一段と眩しさを増していくのを私は現在進行形で感じている。というのも今私が立っているのは、全国という舞台を目指し日々の練習を励む学生がいる体育館なのである。





うちの高校のバスケ部はインターハイ常連校らしい、と誰かが言っていた。というか、うちの運動部は全てそこそこ強いのだが、バスケ部は群を抜いて強い、らしい。そんなただでさえ強いバスケ部は何十年に一度やら三度やらに1人の逸材が5人揃ってたらしいテイコウ中?のキセキだかカセキだかの世代とやらから1人の引き抜いてきたらしい。しかも、その入学してきたイセキの世代?とやらは現役モデルらしいから、これまたビックリである。
さっきから「らしいらしい」とうるさいのは私が聞いたわけではなく、友人伝いで聞いたからであって。バスケとは縁遠い現役帰宅部な私の生活を振り返れば、人伝いで聞くしか小耳に挟むことはないのだが。

さて、そんな私が我が校誇るバスケ部のホーム、体育館にいるのかは数刻前に遡る。まぁ、ご察しの通り友人の「キセクンミニイコウ」という魔法の呪文により召喚…という名の強制連行が成されたからだ。「つーか、キセクンって誰よ」なんて私の呟きは華麗にスルーされ、やってきました体育館。そして今に至る。私を連れてきた張本人は何時の間にやらギャラリーの最前列に陣取って、お目当ての彼を観察しているようである。連れてきた割には放置とは飽きれるものだが、折角ここまで来たのだ。少しくらいは見学してもお釣りは出るだろう。そう思いコートを眺める事にした。


「思ってた以上だわ…」

ポロリと零れた呟きに返ってくる言葉はない。噂は予々聞いて居たが、実際に観るとすごい、の一言だ。同じ高校生なのに、なんだこのストイックさは。同じ高校生の「はず」なのに。
少しばかり胸に焼け付く悔しさを噛み締めつつコートを眺めていると、一際輝く人影がいた。サラサラの髪と爽やかな空気。ちらりと見えるストイックさやバスケへかける気持ち。何故だか良くわからないけど、釣られる様に視線が彼を追っていた。

「あんなところからも、シュート…」

もちろん、この呟きにも返答はない。いつもなら返してくれるであろう相手は未だお目当ての彼に夢中だから。
先輩だろうか、同級生だろうか。そんな疑問を抱きつつ、視線は未だ彼を捉えている。ふっと此方を向いた気がした。   ――あ、やばい。


「はぁ〜、今日も黄瀬くんはかっこよかったー!…って、名前?どうしたの?」
「え?…あ、多恵」
「あ、多恵。じゃなくて。なに?ボーっとして」
「あー…のさ、あそこでドリンク飲んでる人って、誰?」
「えっ?……あれー…は、森山先輩、かな」
「森山、先輩…」
「なになに、なんかあったの?」
「別に、どうって事はないけど…あー…うん」
「えー?ちょっと、帰りに詳しく聞かせなさいよ」

−−−−−
シリーズ化させたい、な。
森山先輩夢とは呼び難い。
というか話してない。
0616
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