あの日、素直に愛を囁いていたら、私たちの未来は明るかったんだろうか?

  あの時、君の想いに気づいてたら、僕らの未来は明るかったんだろうか?


「愛してる」そう呟けば君は満足そうな笑みを浮かべ俺にキスをする。ねぇ、君からは俺に愛の言葉は聞けないの?分かっていたはずの関係なのに、分かっていたはずのことなのに。君の心はここに無いことだって。君の心は手に入らないものだって。ずっといつだって笠松を見ていることは近くにいれば誰だってわかることなのに。(それでも君が大好きで)

「由孝」「ん?」「・・・なんでも、ない」

喉につっかえて出てこない『I LOVE YOU』。あなたに不安な顔をさせている原因は私だって分かっているのに。言葉に出来ない。由孝、聞こえてますか?届いていますか?言葉にならない私の愛は。幸男の代わりなんて思ってないの。私には今、由孝だけなのに(言葉には出来なくて)

「大好きだよ、名前」
「わたしも大好き・・・、うん」

宙を待ったあなたに届けるはずの愛してる。

届いているのに心を閉ざして見ないフリをした君からの愛してる。

すれ違うたびに君の想いに気づくのに、どうして僕らは・・・――




近くで聞こえた寝息と肩の重みに、名前が寝たのだと分かった。規則正しく聞こえてくるリズムに交わった一つの言葉。

「ごめんね・・・」

謝罪の訳は知りたくないけど、きっと自分に関係があることだとはいくら俺でもわかる。頬に流れた君の涙を拭ってあげると、君は少し距離を縮めた。こんなにも君が愛しいのに。そんな想いを込めて君を抱きしめ、そっと桜色の唇にキスを落とした。
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テーマ「人外ファンタジー」
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