ゴーっというエアコンの音で目が覚める。節電だのなんだのとやり取りをしたのに、結局いれっぱなしだったのか。ひんやりとした空気がからからに乾いた喉を刺激する。確かミネラルウォーターが冷蔵庫にあったはずだ。隣で眠る大男にシーツを掛けてやった後、その辺にあったシャツに袖を通す。やたら大きなシャツのボタンを大雑把に留める。これは、きっと、彼のだ。昨夜、二人で脱ぎ散らかした内のひとつだろう。シンプルなフローリングにレースをあしらったショーツは不釣り合いすぎて、くすり。ひたひたと足音を立てぬようにキッチンに向かう。冷蔵庫の中からお目当ての物を見つけ、嚥下する。含みきれずに口の端から溢れた水を荒々しく拭っていれば、ズシッとした重みが襲う。「…大我?」「ん」「起きたの?」「名前が…、お前がいねえんだもん」シーツ一枚身にまとった彼は、さながらヴィーナス。性別が違うなんてことは気にしたら負けだ。体を弄るような彼の手に身を捩れば、面白いおもちゃを見つけたかのようなくぐもった笑い声をあげ、その行為を続ける。おいおい、面白いのは肩からシーツを巻きつけた君の格好の方だよ、大我くん。吐息を感じる方向へ首を向ければ、彼の覚醒しきってない双眼とご対面。キスしましょう。そうアイコンタクトを送れば、近づいてくる唇。果たして真意は伝わったのか否か。そろりと目蓋を伏せ、送られる熱に酔いしれる。手に持っていた水はカウンターへ。空いてしまった手は彼の首に巻きつけて。息継ぎのために一度離れる。また口付けるのだろうか、そんな考えは首元に齧りつかれた痛みでぶっ飛んでしまう。「ったあ…」「腹減った」「痛いって言ったの」「腹減った」「そうそう簡単に朝ごはんは作れないわよ」ひりひりと鈍い痛みが続く箇所を撫で上げていた腕を取られる。あ、やばい、ヤラれる。本能的に覚って、片手で彼を押し返すも距離は縮まっていく。「彼シャツ…ってやつだろ?」「なに、が」「お前の格好、エロい」じとり、服の上から舐め上げられるじれったい感覚に息が詰まる。未だに稼働し続ける冷房で冷えきったベッドに身を沈められたら、ほら、オシマイ。



ラブ・イズ・サマー


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