春うらら。京都にも花が綻ぶ季節がやって来た。ここで過ごす二度目の春は、ちょいと騒がしい。無冠の五将なんぞと持て囃されるのも本日まで。今日からキセキの世代がやってくる。憂鬱といえば憂鬱だが、楽しみといえば楽しみなこの気持ちに名前をつけるとすれば何なのだろうか。「玲央くん、聞いた?キセキの世代がうちに来はるらしいなあ」「ええ、知ってるわよ。しかも主将らしいじゃない」「ほんますごいなあ。うちってバスケ強いんやけど、そんなすごい子来てくれはったら、向かうとこ敵なしになってまうなあ」間延びする言葉にもだいぶ慣れた。マネージャーである名字の操るお国言葉は、最初こそ違和感があるとはいえ、今となっては癒しさえ感じる。身も心も京都に染まってきたのだろうか。別にそれが良くないというわけではないのだが、地元の両親はなんと思うのだろうか。「ほんでな、コタローくんがワンオンワンするって言うて聞かへんねん」「ああ…言いそうね」「永吉くんに止めてって言うても動いてくれへんし」「…いやよ、僕も」「まだ何も言ってへんよー!」その一言が決定づけているとは言ってやらない。なんだか体育館へ向かうのが億劫になる彼女の発言に気が沈む。再度告げよう、二度目の京都の春は騒がしい。




(120730)
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