「俺の云うこと、聞けない?」ギラギラした視線は狂気を孕んでいる。彼を色取っているはずの口癖さえ、今は遠く聞こえない。下唇をぎゅっと噛み、涙をこらえる。「泣かないの?」「…」「ねえ、泣いてよ」「…」そっと首を横に振れば、眉を顰め、顔を掴まれる。「泣いてよ、お願い。俺を、黄瀬涼太を想って泣いて。俺以外のことなんて考える必要ないだろ?」なにが彼をこうまでさせているのだろうか。首元には彼が飽くまで付けられた、歯型と鬱血痕が所狭しと咲いている。耐えられなくなり目をそらせば、がぶり。痛みという名の衝撃に「うっ」と呻きを漏らせば、今度はねっとりと血液を舐め取られる。「名前は血液まで甘いね」「な、にいって、んの…」「「あーあ、こうやって舐めてたら俺と名前におんなじ血が流れないかな」ざらりとした感触はいつまでも首元を這っている。生理的現象というか、その感覚は下半身にはよろしくない影響を与える。そんな動きすら彼は見逃さない。「そっか…名前も俺とひとつになりたいんだね」「ちがっ」「大丈夫、これからずーっと、俺と一緒だよ」労るように涙を拭われた場所からも恐怖を感じる。ああ、このまま私たちは堕ちて行ってしまう。頭の奥で警鐘が低く鳴り響いた気がした。




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▼杏様リクエスト
黒子くんか黄瀬くんでヤンデレなお話
リクエスト有難うございました。
120723
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