あの日、協力体制をとって互いの恋を応援していたら恋が芽生えました。…なんて単純な話ではないけれど、多分そういう所も無きにしも非ず。今こうして隣で瞼を伏せ眠る彼の姿が答えなのではないのかな、と。見た目通りに長い睫毛は少しばかり憎たらしい。つるつるした肌も乙女の自尊心を傷つける。つんっと指で弾けば、ハリ・コシのあるお肌で自信をなくしかけそうだ。こういうのもなんだが、彼は同性が好きだったのだ。性別から正反対の人間を本当に好きになれるものだろうか。まだ黒子くんのことが好きだけど、色々考えた末に仕方なく私と付き合っているんじゃないだろうか。悶々と考えてみても答えは見つかる気配もなく。よくわからない情けなさに彼の頬をつついていた人差し指を引っ込めようとすると、逆に引っ張られる感覚。目を見開くとそこには、ぱっちりと目を開けてこちらを見る双眼と視線が交じ合う。「なにしてんの」「…起きてたんだ」「答えになってない」「確認?」「なんの?」「…愛の」「なにそれ」くすりと笑うと掴んでいた手を離す。ぐっと背伸びをすると改めて向き合う形になった。全てを見透かすような視線はあの頃と変わらず、罰が悪そうに目を逸らせば顎を掴まれる。「痛いよ」「不安?」「べつに」「嘘つき」間合いがつめられ唇を掬い取られる。ねっとりとした口づけは心に残った蟠りまでも取り去ってくれるようだ。「俺も、不安」「どうして?」「俺と桃っちって似てないでしょ?なんで好きになってくれたんだろって、よく考えるんスよ」「…変なの、悩みまで一緒じゃん」「そう?」「たぶん、そういうところも好きなの」「俺も、そういうところも好き」瞼に落とされる唇も、回された長い腕も、骨ばった大きな手も。さつきとは全然違う、そんなところが好きで仕方ない。『黄瀬涼太』を創る全てが愛おしくて為ん方無いのだ。




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▼唯様リクエスト
ロスト・ロストifストーリーで、色々な問題を解決した後に黄瀬くんとヒロインちゃんがくっついたお話
リクエスト有難う御座いました。
120722
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