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※ウィザーズ・ブレイン パロ
 (最後の方にちょっとだけ設定)




――高密度情報制御を感知。


頭の中の窓がそんな警告を出した時には目の前に真っ黒な触手が迫っていて、身体能力制御によって通常の数倍に引き伸ばされた時間によってなんとか避けることができた。正に間一髪、下手したら直撃だった。
短剣を握り直し、頭の中のコンピュータにアクセスをする。相手の動きが思ったより速い。運動速度と知覚速度を更に数倍に定義し、触手の本体との距離をコンマ一秒も掛からずに詰める。本体は運動速度を上げているわけではなく、あくまでも通常の人間の速度だ。対してこちらは人間の数十倍にもなる速度、捕えるのは一瞬だ。


――警告。高密度情報制御を感知。後方。危険。


反応しきれていない触手本体への距離があと一歩と迫ったところで、そんな警告が響いた。慌てて攻撃の軌道から逸れるようにして真横に跳躍。氷の槍が一瞬前まで自分が立っていたところを射抜き、そして爆発した。冷や汗が流れる。
体勢を立て直し、前方にいる触手本体に意識を向ける。真っ黒な触手。元を辿っていくと、それは大きな翼に繋がった。


翼を生やして、何が楽しいのかにこにこと笑う男。宙に浮いたまま翼を幾本もの触手に変換し、高速で襲ってくる。それでもまだこちらの速度の方が上だ。触手の攻撃は止まって見える。
今は後方を気にしている場合ではない。とにかくこの触手の本体である男を叩くことが最優先だ。そう思って、腰からもう一本の長剣を抜こうとして。右手に痛みが走る。思わず短剣まで取り落とし、運動速度が急激に通常の速度に戻っていくのが分かった。


――「身体能力制御」強制終了。知覚速度、運動速度、共に通常速度で再定義。


元に戻る時間の流れ。目の前に迫る真っ黒な翼。楽しそうに嬉しそうに笑うその男は、鋭い触手の先を真っ直ぐに額へと伸ばし。


「もーらい!」


そして触手はボクの頭を貫くことなく、皮膚を切り裂く数ナノミリ手前でぴたりと静止した。
沈黙。




「やったー!アルバくんに勝ったー!」

「うええ!?今のはずるいですよ!クレアさん何もしてないじゃないですか!」

「えー?でも勝ちは勝ちだよ。ねー、シーたん」

「ああ、そうだな」

「っていうかシオン!何でお前、ボクの邪魔ばっかすんだよ!」

「何のことですか?」

「さっきの氷の槍!あれお前だろ!?」

「何ですかアルバさん。自分が負けたからってオレのせいにするんですか。元はと言えばチートっぽい能力持ってるのに使いこなせない自分が悪いんじゃないですか。それにオレがやったという証拠でも?」

「いろいろ突っ込みたいけど、とりあえずこの場に分子運動制御できるやつなんてお前しかいないだろ!」

「あははー。ぷえーぷえー」

「誤魔化すなっ!」


嬉しそうに翼をはためかせる「龍使い」のクレアさん。人のことを散々邪魔しておいて馬鹿にしたように笑う「悪魔使い」のシオン。ぎゃんぎゃん叫ぶ「騎士」のボク。いつも通りの光景。こうやってたまに手合せをしては勝敗を巡って騒ぐ。その騒ぎはなかなか収まらず、最終的にもう1ラウンドとなる直前で。


――高密度情報制御を感知。危険。


ボクたちの間を正確に突き抜けていく光。爆発する着弾点。
光だとか原子、分子のようなものを加速させて撃たれる荷電粒子砲。戦艦を落とすことなんか訳ないようなその攻撃をボクたちに向かって放つのは、後方でにっこりと可愛らしい笑みを浮かべた少女だ。


「ケンカはダメだよ!」


可愛らしいのに有無を言わせないような迫力を伴う、「光使い」のルキ。




ボクらはこの箱庭の中で、与えられた「魔法」という力を使って生きる、”魔法士”である。




(ちょっとだけ設定)

アルバ:騎士、ディーの能力
 上手く扱えればロスに負けないチート能力だけどいつもうまく使えない。身体能力制御と自己領域の切り替えができないからチート発揮できない。基本は通常の騎士と同じような戦い方をする。
 武器は双剣。長剣と短剣。長剣の方で自己領域を司ってて、短剣の方は身体能力制御。いつも両方持ってるけど敵によって使い分けてる。でもスピードタイプだから短剣で身体能力制御ばっかり使ってる。


ロス(シオン):悪魔使い、錬の能力
 チート。本来の能力の8割近くの力を発揮できる。使える能力も錬と同じ。使いようによってはサクラの能力も使える。
 積極的に前線に出ることはない。原作通りアルバの補佐というか邪魔ばっかり。武器は大剣。紅蓮のような騎士能力に耐えられるだけの構造をしている。基本はセラのD3のようにアインシュタイン(時空制御)を使って時空の穴に収納している。よく使う能力はマクスウェル(分子運動制御)。


ルキ:光使い、セラの能力
 母親からD3を引き継いで使っている。重力を操ることに長ける。いつもふわふわ浮いている。荷電粒子砲と空間歪曲による盾の能力を持っているのでサポートに回っている。原作でのゲートのような能力も使える。小悪魔。


クレア:龍使い、ファンメイの能力
 体が黒の水で出来てたりはしない。そこらへんはご都合主義。シャオみたいな黒の水を制御している黒猫を連れていて、戦闘になるとその黒の水を使うことが出来る。ロスかルキを介してどっかの空間に大量の黒の水を確保しといて、大容量使いたいときは引っぱり出してくる。
 使うのは主に黒の水による触手と翼。黒猫の水のほとんどを翼に使い、翼を操って触手のように動かす。アルバと共に前線担当。




#ウィザーズブレイン知らない人にはとても不親切な設定でした。
#誰かウィザブレ知ってる人いないですか。




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