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「人と妖精が一緒にプレイできるゲーム?」 衆生の門計画、というなんだかいかめしい名前から想像した内容とは全然違うことが无限大人から告げられて、私は瞬きをした。 「ある霊域の中に作られた空間の中に、ゲームという形で霊を作り、修行ができるものになっている」 「霊域……ですか」 以前、お墓参りのために无限大人の霊域に入ったことを思い出す。普通、他人の霊域に入ることはない。そこは、その人が支配する場だから、中に入った人のすべてを掌握することができるそうだ。それを知っている人は、人の霊域に入ったりはしない。でも、今回の場合はだいぶ事情が異なるようだ。 「その空間では、プレイヤーは別の姿になる。だから妖精も、それとはわからずに同じ空間にいることができる」 「そんなことができるんですか……」 无限大人が説明してくれるけれど、それがどういうものなのか、いまいちうまく想像がつかない。 「ここで妖精は修行を行い、人間もまた修行ができる。素養のあるものが、能力に目覚めるだろう」 「それは……本当にそんなことができるんですか?」 「かなり形になってきているよ。もう最終段階だ」 「知らなかったです……。そんなことを考えていたなんて……」 修行ができるなら、もしかして私もできるだろうか。素養はそんなにないかもしれないけれど。 「霊質というものを、人間が知るようになる。そして、それを操る妖精という存在も」 「妖精のこと……人間に知らせるんですか!?」 思わず驚いて声を上げてしまう。今は、ごく限られた人間しか知らない。人々はこの世界に自分たちが虐げ、追いやった種族がいることを知らない。 今の人間たちが妖精という存在を知ったら果たしてどんな態度をとるのか、正直なところあまり明るい未来を想像することはできなくて、顔をしかめてしまう。けれど、无限大人は静かな表情のまま頷いた。 「そうだよ。君も必要なことだとわかっているだろう」 「そう……ですが、でも……本当に、大丈夫なんでしょうか……?」 人間が妖精の存在を知り、受け入れてこそ、本当の共存を始めることができると思っている。だから、いつかは向き合わなければならないことだけれど。いざそれが目前だと知らされて、怖くなった。 「一度にすべてを明かすわけではないよ。少しずつだ。理解者を増やしていく。まずはそこからだ」 「……はい……」 无限大人はしっかりと先を見据えている。その揺るぎない眼差しに見つめられて、心を落ち着けた。ふと口元を緩めて、无限大人は言う。 「このゲームの中なら、人間に変化できないものも姿を変えることができるよ」 「あ……明俊さんや、深緑さんも……?」 特に明俊さんは、人間に興味を持っていて、人間になってその社会に行ってみたいと強く望んでいた。その願いが、叶うのかもしれない。どくん、と胸が高鳴る。本当に、そんな眩しいほどの未来を夢見ていいんだろうか。 「日本でのリリースは、本国より遅れる予定です。こちらにいる妖精は少なく、混乱に対処できるかどうか見極めてからでなければ」 館長は少し不安の混じった緊張気味の表情でそう言う。そうか、日本でも同じことが起こるのか。館から一歩離れると、友達も、先生も、誰も妖精のことを知らなかった。子供のころは、どうして秘密にしなければならないのかわからなかった。こんなに素敵な存在なのに。どうして彼らはそれを知らないのだろうと、歯がゆかった。 いろんな思いがこみ上げてくる。まだうまく言葉にできないけれど、信じてみたいと思った。真実を明かされる人間たちのことを。 「私……私も、手伝えることがあれば、何かしたいです」 「ゲームが発売されたあと、きっと忙しくなるよ」 「はい……!」 どきどきする胸を押さえて、大きく頷いた。 計画の話のあとは、現状のこちらの問題を館長が无限大人に相談して、无限大人に助言をもらっていた。仕事中の无限大人の顔が見られて、通訳しながらちょっとどきどきしてしまった。 ← | → |