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「今日はなんのパーティ?」 テーブルの上に並べられた料理を見て、无限大人は目を丸くした。 私と小黒は目を見合わせて、笑い返す。 「无限大人の労いパーティです!」 「いつもありがとうって気持ちなんだ。ぼくも手伝ったんだよ!」 「私に? ……そんな、労ってもらうこともないのだが」 无限大人は柔らかく微笑んで、小黒の頭を撫で、私に微笑んだ。 「とても嬉しいよ。驚いた。こんなにたくさん作ってくれたんだな」 「无限大人の好きなもの、全部作ろうって」 肘子や東坡肉、ハンバーグなど、肉料理が中心だ。張り切りすぎたかもしれないけれど、きっと无限大人と小黒なら食べられるだろう。 「さあ、食べましょう」 「うん。いただこう」 「座って座って!」 无限大人を囲んで、椅子に座る。ご飯を食べながら、お酒も飲んだ。思った通り、お皿はほとんど空っぽになった。 「さすがに食べすぎたかな」 「ぼくもお腹いっぱい」 小黒はもう眠そうにしている。食器を片付けている間、二人にお風呂に入ってもらった。お風呂から上がると、小黒はすぐに布団に倒れてしまった。お腹が満たされて、幸せいっぱいな寝顔だ。 そっと寝室の戸を閉めて、无限大人と飲みなおした。 「でも、今日はどうして突然こんなことを?」 「えっと、いつも无限大人にはしてもらってばかりなので、私から何かできれば……と思ったんですけど、思いついたのがこれくらいだったので」 「十分だよ。私だって、君には世話になっている」 「それだけじゃなくて、无限大人は執行人として、たくさんの妖精のために、いつも身を尽くしてくださっているから。それも、すごく長い間。それを労いたいと思ったんです」 「はは。そんな大げさなものじゃないよ。だが、そう思ってくれる気持ちはとても嬉しい。ありがとう」 「他にしてほしいかったらなんでも言ってくださいね! できることならなんでもします」 「してほしいことか」 无限大人はお酒を飲んで、考える。しばらく視線を彷徨わせて、すとこちらを見た。 「膝枕……」 「え?」 「膝枕を、してほしい」 「ええっ」 意外なことを言われて驚いてしまった。 「そんなことでいいんですか?」 「してくれる?」 「いいですけど……いいんですか?」 无限大人がこちらにやってくるので、正座をして身構える。无限大人はさっそく身体を横にして、私の膝に頭を乗せた。下から見上げるようにされて、その瞳にどきりとする。なんだかへんなかんじだ。 「ど、どうですか?」 「うん。とてもいい」 无限大人は目を閉じて、私の膝を堪能する。身体が緊張で硬くなってしまう。これで本当にいいんだろうか。もっと他にできることがある気がするんだけれど……。こういう場合、喋らないでそっとしておく方がいいんだろうか。膝枕って、なんだろう。なんだかわけがわからなくなってきて、そわそわする。 「きょ、今日の料理、どうでした?」 話していないと落ち着かなくなって、話しかけてしまった。 「とても美味しかったよ」 「よかったです。小黒に无限大人がよく食べてるもの聞いて、一緒に作ったんです。小黒もたくさん手伝ってくれたんですよ」 「そうか」 「館で働いてると、やっぱり无限大人の話、よく聞くんです。たくさんの妖精が无限大人に助けられてるんだなって実感します」 「たいしたことはしていないさ」 「してますよ。中には、嫌な思いをしたことを、无限大人のせいにしている妖精もいますけど……。そういう妖精にも、いつかわかってもらえたらいいのに……」 「無理にわかってもらう必要はないよ。私は私のやるべきことをしているだけだから」 「でも……」 无限大人の返答は揺るぎない。私が勝手に胸を痛めているだけで、无限大人は気にしていないのかもしれないけれど、でも、やっぱり、知らない振りはできなかった。 「人間への対抗心を持っている妖精には、普段の仕事ぶりで、信頼を築いていくしかないのかなと思います」 「君はよくやっているよ」 「もっと頑張ろうって思いました」 无限大人は目を開き、手を伸ばしてくる。頬に触れて、促すので、身をかがめて、唇を重ねた。 「あまり思いつめないように」 「はい……」 もやもやしていたことが无限大人にはお見通しなのかもしれない。 もっと強くなりたい。无限大人のように揺らがず、自分のやるべきことを粛々とこなせるように。 「……すみません。そろそろ、足が痺れてきました」 「はは。すまない。長く楽しみすぎたな」 无限大人は身体を起こすと、私の頭をぽんぽんと撫でた。足を崩して、ほっと息を吐く。 「こういうのも、たまにはいいですね」 「またお願いしようかな」 「ふふ。いつでもどうぞ」 今度は私もしてほしいかも。と思いながら眠くなるまでお酒を飲んだ。 ← | → |