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私の服を見終わってから、小黒の服を見る番になった。大人になってから子供服売り場に来るのは初めてだ。 「うわあ、かわいい、ちっちゃい!」 そこに並んでいる服は当然だけれどどれも小さくて、デザインも子供らしくカラフルで元気なものが多い。 「小黒これは? これもかわいいな」 目についた服を次々とって、小黒に宛がってみる。小黒はじっとして私に付き合ってくれた。无限大人も後ろから見守ってくれている。 「小黒、どれが好き?」 「うーん、どれだろ……」 「どれも似合いますよね? 无限大人!」 「ああ。似合っているよ」 小黒は少し照れたように口を尖らせる。 「この緑のパーカーはどう? フードがカエルになってるよ」 小黒に試着してもらうと、本当にかわいかった。フードを被ると、猫耳か隠れて、カエルの目が頭にちょこんと乗る格好になる。 「これいいな。ね、无限大人」 「うん、いいね」 小黒も鏡を見てフードを外したり被ったりしている。気に入ったみたい。他にも何着かTシャツのズボンを選んで、満足した。小黒より私の方が楽しんでしまった。 「じゃあ最後は」 「師父の番だね!」 私と小黒は无限大人を振り返る。无限大人は目を丸くした。 「どのお店がいいかな、小黒」 「おしゃれなとこ選んで、小香」 メンズのファッションを考えるのは弟とショッピングに行ったときくらいだ。あまり慣れていない。无限大人はどんな服が好きだろう。普段の恰好はシンプルだけど、よく似合っていておしゃれだ。私はどんな服を无限大人に着てほしいだろう。そんなことを考えながら小黒と一緒に真剣にお店を選ぶ。 「あ、あそこはどうかな」 大人っぽい落ち着いた雰囲気のお店を見付けて、二人にお伺いを立てる。小黒はいいね、と言って无限大人の手を引っ張った。 「この紺のシャツのセットアップとか」 「師父似合いそう!」 店員さんに声を掛けて、さっそく試着させてもらう。无限大人が着替えている間、小黒とどきどきしながら待っていた。 しばらくしてカーテンが開く。 「どうかな」 半袖のシャツと白いパンツが爽やかで涼しげで、胸がときめいた。 「にっ、似合います……!!」 「師父かっこいい!!」 「着心地がいいな」 小黒と一緒に目を輝かせて見つめてしまった。かっこいい。とてもかっこいい。 无限大人の買い物も無事終わって、ご飯を食べてから帰ることになった。ショッピングモール内のレストランに行って、一息つく。 「今日はたくさん買い物しましたね」 三人分の紙袋が積み上がっていて、改めて満足感を得る。 「あの、ありがとうございました。服を選んでくれて」 「今度、今日の服を着てどこか行こう」 「はい……!」 「どこに行く?」 楽しみが増えて、次の休みが待ち遠しくなる。小黒が待ちきれないように訊ねてきた。 「頤和園はどうだ。美しいところだよ」 「北京ですね。行きたいです」 行先が決まったところで、料理が運ばれてくる。お腹もちょうど空いていたのでさっそく食べようとしてあ、と箸が止まった。 「パクチー入ってる……」 「おいしいよね!」 小黒はさっそく食べている。私は渋い顔をしてしまう。 「私、苦手で……」 「そうなのか」 无限大人は意外そうな顔をした。そしてひょいと取って食べてくれた。 「すみません。ありがとうございます」 パクチー以外は美味しく完食した。私たちは満足して家に帰った。 ← | → |